[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領が打ち出した一連の追加関税措置で、米企業は2018年2月以降、460億ドルに上るコスト負担を強いられたことが、米商務省の統計に基づくコンサルティング会社の試算によって明らかになった。負担増の大半に当たる約373億ドルが、対中関税の発動によって発生した。
米トレード・パートナーシップ・ワールドワイド社が2019年11月までの貿易統計をもとに関税負担額の試算した。それによると、中国などからの報復関税の標的となった米国製品の輸出が昨年11月までの1年間で関税発動前の2017年に比べて23%減少したことも明らかになった。
同社のバイス・プレジデント、ダン・アンソニー氏は、報復措置が既に解除されている場合でも、対象製品の輸出は回復していないと指摘した。
商務省が7日公表した11月の米貿易赤字は、過去3年余りで最低水準に縮小した。[nL4N29C3AM]
アンソニー氏によると、中国による報復関税の影響だけを見ると、その対象となった米国製品の輸出は11月までの1年間に17年比で26%減少しており、それ以外の米国製品の対中輸出は10%増加した。
トランプ大統領は18年2月に鉄鋼とアルミ製品への追加関税を発動。これに対抗して報復関税を導入した国々への米国からの輸出は全体で17年に比べ15%減少したという。
米政府はメキシコとカナダについては、鉄鋼・アルミ関税を撤廃し、両国も5月に報復関税を解除した。それでもなお、対象となった米国製品の輸出は回復していない。
アンソニー氏は「貿易が再び伸びるという期待があったが、過去半年間でそういう状況にはなっていない」と分析。「これまで減少した他の輸出製品についても疑問が生じており、報復関税が解除されても輸出が回復するという保証はない」とした。
トレード・パートナーシップは、品目が明確に分類されている季節調整前の貿易統計に基づき、品目別の関税率を使って企業の関税負担を計算した。輸入関税に反対するロビー活動「Tariffs Hurt the Heartland」(ハートランドを苦しめる関税)から委託を受けた。