[上海 16日 ロイター] - 中国の大気汚染が2019年末にかけて北京と上海で大きく改善した一方、その他の地域ではむしろ悪化したことが、16日に公表された研究結果でわかった。大気汚染の原因となっている産業が閉鎖せず、移転するにとどまっていることが背景にあるとみられる。
李克強首相は2014年に「公害との戦争」を開始したが、政治的に重要な北京・天津・河北や、長江デルタ地域が対策の中心となっている。
ヘルシンキに拠点を置く研究機関CREAによると、これらの2地域は、2020年3月までの6カ月におけるPM2.5の平均濃度をそれぞれ4%、2%抑制するとの目標を達成できる見通し。
しかし、中国全土のPM2.5の平均濃度は19年第4・四半期に変化が見られず、黒竜江省、江西省、広東省などでは2桁台の上昇が見られた。
CREAのアナリストは「優先的に対策がなされている北京や上海以外では、石炭と石油消費が続くなか(大気汚染の軽減で)進展がほとんどないか、まったくない状態だ」と述べた。
昨年第4・四半期のPM2.5濃度は、北京で18%低下。中国最大の鉄鋼産地である河北地域でも18%の低下が見られた。