[バンコク 5日 ロイター] - タイ中央銀行は5日、政策金利の翌日物レポ金利を1.25%から1.00%に引き下げた。
利下げは予想外。過去6カ月間で3度目の利下げとなった。政策金利は日本を除くアジア諸国で最低の水準。
利下げは全会一致で決定した。中国で新型肺炎の感染が拡大し、タイ経済を圧迫する要因となっていることが背景。
ロイター調査では、エコノミスト23人中14人が金利据え置き、残りが25ベーシスポイント(bp)の利下げを予想していた。
タイ中銀は昨年8月と11月に25bpの利下げを決定。12月は金利を据え置いていた。
中銀の金融政策委員会は「今年のタイの経済成長率は従来予想を下回る見通しだ。潜在成長率を大幅に下回ると予想している」と表明。新型肺炎、干ばつ、財政予算の遅れが多くの企業と雇用に悪影響を及ぼすとの見通しを示した。
タイ経済は、中国人観光客や対中貿易への依存度が高く、今回の感染拡大で特に影響を受けるとみられている。
カシコン銀行の資本市場調査部門トップ、Kobsidthi Silpachai氏は「(全会一致の利下げ決定は)経済的な課題の深刻さと緊急性を浮き彫りにしている」と指摘。
ノムラ(シンガポール)のエコノミスト、Charnon Boonnuch氏は、今回の利下げで打ち止めになると予想しているとしながらも「経済成長が引き続き予想を下回れば、年内に追加緩和の余地がある」と指摘した。
金融政策委員会のTitanun Mallikamas氏は会見で、今年の経済成長率が予想の2.8%を下回るとし、特に観光産業が予想以上に減速する可能性が高いとの見方を示した。
Titanun氏は、追加利下げの余地があるかとの質問には答えなかった。