[シンガポール 17日 ロイター] - シンガポール政府は17日、2020年の経済成長率見通しを従来の0.5─2.5%からマイナス0.5─プラス1.5%に引き下げた。新型コロナウイルス感染拡大の悪影響を見込んでおり、今年リセッション(景気後退)に陥る可能性が強まった。
同日発表した第4・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前年比1%増と、速報値の0.8%増から上方修正された。前期比年率は季節調整済みで0.6%増と、速報値の0.1%増から大幅に上方改定された。
2020年については、非石油部門輸出の伸び見通しを従来の0─2%からマイナス0.5─プラス1.5%に引き下げた。
貿易産業省のガブリエル・リム次官は「前回の見直し以降、シンガポール経済の見通しは弱まった。特に、コロナウイルス感染拡大が同経済に影響を及ぼすとみられる」と述べた。影響が予想される産業として、製造、卸売り、観光、輸送、小売り、食品サービスを挙げた。
シンガポールのリー・シェンロン首相は14日、新型コロナウイルスの影響でリセッションに陥る可能性に言及した。
同国経済の2019年のGDP成長率は0.7%と、10年ぶりの低水準だった。1月下旬に国内でコロナウイルスによる肺炎の感染者が確認される以前には、今年は景気が緩やかに回復すると予想されていた。
同国政府は、18日に新型肺炎感染拡大を受けた景気下支え策を発表するとみられる。
メイバンクのエコノミストは「第4・四半期を最後に、少なくとも今後2四半期は良い数字は見られないだろう」としたうえで、「テクニカルなリセッションのリスクがあることは十分認識している」と語った。リセッションになればシンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)に金融緩和を促すかもしれないと付け加えた。
MASは4月に半年ごとの金融政策の見直しを行う。
MASの副マネジング・ディレクター、エドワード・ロビンソン氏は17日、MASの金融政策のポジションやインフレ見通しに変更はないと述べた。
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