[ロンドン 17日 ロイター] - 運用資産が合計で37兆ドルに上る複数の機関投資家団体は、安倍晋三首相に公開書簡を送り、温室効果ガス排出量を一段と削減するよう求め、日本政府に前向きな動きがあれば、今年11月の気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に国際的な環境対策強化につながると指摘した。
英国や欧州連合(EU)の大半の加盟国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げるなか、日本は主要7カ国(G7)の中で唯一、石炭火力発電所をいまだに新設するなど対応が遅れており、環境保護団体などから批判を浴びている。
公開書簡に署名した「気候変動に関するアジア投資家グループ」のレベッカ・ミクラライト代表は「日本の排出量削減へのアプローチは、アジア全域で注目されている」と指摘。
「投資家らは、2030年までの一段の排出量削減を促進する強力で前向きな政策上の動きや、2050年までの排出量実質ゼロに向けた明確な道筋を確認できれば、クリーンな技術や気候変動に耐性のあるインフラへの投資を加速させて(日本の動きに)応じるだろう」とした。
公開書簡は日本政府に対し、11月に英グラスゴーで開かれるCOP26を前に、今よりも野心的な温室効果ガス排出量削減目標を打ち出すよう求めている。
書簡に署名した複数の投資家グループによると、630以上の機関投資家がメンバーとなっており、世界の総運用資産の約半分を手掛けている。メンバーには米運用大手ブラックロック (N:BLK)、独保険大手アリアンツ (DE:ALVG)、BNPパリバ・アセットマネジメント、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)が含まれている。