[メルボルン 24日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は24日、政府の社会保障費支出を抑制するため、雇用を創出する必要性を強調した。同国で2番目に人口の多いビクトリア州は、森林火災の被災地や、新型コロナウイルス感染を防止するための制限措置で打撃を受けた地域の観光業再開に向けた対策を打ち出した。
モリソン首相は、記者団に対し「われわれがどのように市場にアクセスするか、どのように支援を提供するか、森林火災の影響を受けた地域が対象なのかなどにかかわらず、われわれが望む場所にオーストラリアを戻すには雇用を創出する必要がある」と述べた。
雇用を一段と創出し、景気を促進するには農業と観光業の再開が重要との認識も示した。
同国は22日、新型コロナ対策の給与補助プログラムについて、企業側の報告ミスにより、当初約600億豪ドル(390億米ドル)過大に見積もっていたことが分かったとし、対象者は当初想定の半分になると明らかにした。
これについてモリソン首相は「慎重に考えることなく600億豪ドルを借り入れるようなことはしない」と述べ、プログラムの拡大には消極的な姿勢を示した。
オーストラリアでは新型コロナの感染状況が落ち着いてきており、各州は制限措置の緩和に動いている。
ビクトリア州のダニエル・アンドリュース首相は24日、同州経済を支える重要な観光業を後押しするため、森林火災で打撃を受けた地域を対象に移動制限を緩和する方針を示した。
観光客は6月1日からこれらの地域で宿泊が可能になる。
同州は検査で市中感染が少ないことが確認されたとして、衛生面で厳しい規則を導入した上で、6月22日からスキー場の営業も開始する。
また、人口の最も多いニューサウスウェールズ(NSW)州では6月1日からネイルサロンなどの美容業の再開が認められる。