[ロンドン 15日 ロイター] - 英国のジョンソン首相は、黒人差別解消を求める運動を受け不平等対策委員会を設置したが、口先だけでなく行動に移すべきとの声が高まっている。
ジョンソン氏は、政府横断的な委員会が教育や医療、刑事司法制度において少数民族が直面する人種差別や格差を精査すると表明。ただ、委員会の詳細は明らかにしなかったことから、明確な行動を取るのではなく対策を曖昧にしているという不満の声が上がっている。
野党・労働党のデービッド・ラミー議員は、刑事司法において黒人が過剰に罰せられていることに関する報告書を作成したが、調査結果は採用されていない。ラミー氏は「いくらやっても進まないように感じる。今回の取り組みも若干うんざりする」とし、「考察の時は終わった。今こそ行動すべきだ」と主張した。
ジョンソン首相は英紙テレグラフへの寄稿で、チャーチル元首相の銅像がデモの攻撃対象となるのはばかげていると改めて主張。チャーチル像は抗議活動に備え囲いで覆う措置が取られた。週末のデモでは、銅像を守ろうと対抗デモを行った極右活動家が警察に暴力を振るう場面もあった。
抗議活動は、英国の植民地支配や奴隷貿易の歴史を記念する行為を見直すきっかけになっている。月初には南西部の港町であるブリストルで、17世紀に奴隷貿易で富を築いたエドワード・コルストン氏の銅像が抗議者によって台座から引きずり下ろされた。
ジョンソン氏は銅像を撤去することで「文化的景観を修正する動きが高まっていることを疑問視する」と指摘。「人種差別と闘おう。だが歴史的伝統はそのままにすべきだ」と訴えた。