[ブリュッセル 22日 ロイター] - 欧州では過去5年間に、犯罪や暴力、貧困や疾病、大気汚染が減少する一方、男女格差が拡大し、気候変動対策がほとんど進んでいないことが欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の調査報告書で分かった。
調査は2014─19年について、17の「持続的開発目標」に向けた進展を評価。その結果、加盟27カ国で大半の項目について進展が見られた。
この期間、殺人や暴行による死亡者数や、犯罪や暴力、破壊行為の件数は減少。各国政府が裁判所関連の支出を拡大したことで司法制度の独立に対する信頼感が上昇した。
また、医療や住宅など基本的なニーズが満たされる人が増えた。喫煙者が減り、騒音や大気汚染に悩む人も減少し寿命が延びた。
一方、性別による格差は拡大。女性の時給が徐々に男性の水準に追いつき、議会や大手企業の上級管理職における女性の数は大幅に増加しているものの、総合的にみると依然、女性の方が不利な状況にある。
教育と労働市場では格差は拡大し、子育てや老人介護を理由に経済活動がより消極的となっている女性の数は、男性をはるかに上回っている。
ユーロスタットは、気候変動については進展度を中立と判定。温室効果ガス排出削減を通じた気候変動対策の進展度合はこの5年間でまちまちだったとしている。