[ロンドン 2日 ロイター] - 香港の民主活動家、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏は、ロイターとのインタビューで、香港で起きていることは中国が独裁主義を一段と強めていることを表しており、国際社会は連携し、断固とした姿勢でこの問題に対処する必要があると訴えた。
中国政府が香港の統制を強める「香港国家安全維持法」が今週、施行された。香港の民主派や欧米諸国の間では、香港返還に関する1984年の「中英共同宣言」に盛り込まれた香港の高度な自治を保障する一国二制度が崩壊するとの懸念が強まっている。
香港民主派による2014年の大規模デモ「雨傘運動」を主導した羅氏は、既に香港を離れており、渡航先は明かしていない。
インターネットの動画でロイターの取材に応じた羅氏は「香港の抗議活動はこれまで、中国がますます独裁主義を強めていることを国際社会が認識する機会となっていた」と説明。国際社会は、中国との通商で得る経済的利益よりも人権を優先すべきで、断固とした姿勢で中国の問題に多国間で対処すべきだとの考えを示した。
「国家安全維持法は、『一国二制度』の終わりを意味する。もはや2つの制度は存在しなくなり、香港と中国の間にファイアウォールはなくなり、(香港は)基本的に中国に統合されることになる」と懸念を強めた。
「国際社会はこの状況を認識すべきで、中国の責任を追及するため、必要なメカニズムを設けるべきだ」と指摘。「保障されている自治に基づき香港が一定の特権を享受すべきかという点について、国際社会のレビューが必要だ」と説明した。
また、形式や方法は変わるものの、民主化を求める動きは今後も力強く続き、抵抗運動は衰えてはいないと強調した。
中国の習近平国家主席に対しては「退くべきだ」と述べ、国全体を混乱させるのではなく、国民を大切にし、より健全で明るい方向に中国を導く指導者が必要だと強調した。