[ブラジリア 5日 ロイター] - ブラジル中央銀行は5日、市場の予想通り、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の2.00%とした。その上で、追加緩和の余地はほとんどないか、全くないとした。
今回の利下げは、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける経済への対応策としては最も小幅なものとなった。政策当局者らはここ数週間、追加緩和は金融市場の不安定化につながりかねないとの見解を示してきた。
当局者らは今回の会合でも同様の懸念を示したが、追加緩和の可能性を完全には排除せず、景気回復を巡る不透明感が極めて強いことを浮き彫りにした。
金融政策委員会(COPOM)は「金融政策の緩和余地は、あるとしてもわずかだ」と指摘。今後の追加利下げはより穏健的なアプローチを伴い、インフレや公的支出の見通しに左右されるとした。
決定は全会一致だった。ロイター調査ではエコノミスト41人中35人が利下げを、6人が据え置きを予想していた。
政策当局者らは、最近の経済指標は「部分的な回復」を示しているとした上で、見通しは依然不透明で、緊急財政支援の縮小に伴い「特に今年末から」の不透明感は高いとした。
ドイツ銀行(ニューヨーク)の新興国市場調査部門責任者、ドラウジオ・ジャコメリ氏は「金融の安定性を巡るリスクを踏まえると、この水準では追加緩和の利点はほとんどないが、中銀は予想よりも、ややハト派的だった」と述べた。
「中銀は回復が緩やかになることやインフレリスクがかなり抑制されていることを認めている。政策正常化への圧力はなく、長期にわたり金利は据え置かれると予想する」とした。
ブラジルの経済成長率は今年、過去最大のマイナスを記録する見通しで、政府はマイナス4.7%、国際通貨基金(IMF)はマイナス9.1%を見込む。
中銀のカンポス・ネト総裁は、中銀予想のマイナス6.4%が悲観的過ぎるとの見解をこれまでに示している。
COPOMは今回、市場に基づく金利予想と1ドル=5.20レアルの想定為替相場を用いた「ハイブリッド」予想モデルで、今年のインフレ率は約1.9%、来年は3.0%になるとの見通しを示した。
6月には市場に基づく金利予想と1ドル=4.95レアルの為替相場を用いて、今年のインフレ率は約2.0%、来年は3.2%になる見込みとしていた。
中銀のインフレ目標は今年が4.00%、来年が3.75%。中銀は2022年にインフレ率が目標に近付くとみている。
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