[ウィルミントン(デラウェア州) 7日 ロイター] - 大接戦となった米大統領選は7日、民主党のジョー・バイデン候補が共和党の現職ドナルド・トランプ候補を破って勝利した。バイデン氏はデラウェア州で演説し、勝利を宣言した。トランプ氏はなお敗北を認めていないものの、全米の主要都市でバイデン氏の支持者が歓声を上げた。
バイデン氏は地元ウィルミントンの駐車場で演説し、「米国民は声を上げ、はっきりした勝利を届けてくれた」と語った。その上で、「分断させる大統領ではなく、団結させる大統領になることを誓う」と述べた。
来年1月の就任時に78歳となるバイデン氏は、過去最高齢で第46代の大統領となる。上院議員を半世紀、オバマ政権では副大統領を務めた。新型コロナの感染拡大が止まらず、経済が減速し、人種差別と警官の暴力に対する抗議が広がる中、分断が深まる米国の舵を取ることになる。
バイデン氏は選挙で戦った共和党陣営に和解を呼びかけ、「米国にとって癒しのときだ」と語った。演説には上院議員のハリス副大統領候補も登壇。ハリス氏は初の女性かつ初の黒人、そして初のアジア系の副大統領となる。
米大手メディアの委託で開票情報をまとめているエジソン・リサーチによると、バイデン前副大統領は激戦州の1つであるペンシルべニア州を制し、新たに20人の選挙人を獲得。これで同氏の獲得総数は273となり、勝利に必要な270人を超えた。さらにネバダ州も取り、279人まで上積みした。トランプ氏の獲得数は214人となっている。
<トランプ氏がゴルフ中に一報>
主要メディアがバイデン氏の勝利を伝えた瞬間、ゴルフをしていたトランプ氏は、「偽って勝利したふりをしている」と即座にバイデン氏を非難。「選挙はまだ終わらない」との声明を出した。
3日に投開票された大統領選は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて郵便投票が増加し、激戦州の大勢が判明するまでに時間がかかっていた。
郵便投票には不正があると主張してきたトランプ大統領は、複数の州で訴訟を起こしている。しかし、各州の選挙責任者は、郵便投票に不正の証拠はないとしている。また、法律の専門家は、トランプ氏の試みが成功することはないとしている。
バイデン氏の側近らが滞在するホテルでは、大きな歓声が響き渡った。直接の接触を避けるため、握手の代わりに肘を突き合せたり、抱き合う真似をして喜びを分かち合い、側近の1人は「ずっと待っていたかいがあった」と語った。
バイデン氏は主に女性、アフリカ系アメリカ人、大卒の白人、都市部の有権者に支えられてきた。
首都ワシントンでは、バルコニーに出て叫んだり、自動車のクラクションを鳴らすなど、市内各地で歓喜の声が聞かれた。ニューヨーク市のブルックリンでは拍手が沸き起こり、バイデン氏勝利の一報に叫ぶ者もいた。
一方、分断した社会を象徴するように、ミシガン、ペンシルべニア、アリゾナの各激戦州では、憤ったトランプ支持者が州政府の庁舎前に集まり、「選挙を盗むな」と抗議した。アリゾナ州の州都フェニックスでは、「トランプ勝利」、「監査が必要だ」、「われわれは法廷で勝つ」などと声を上げた。
<各国首脳が続々と祝意>
バイデン氏勝利の報を受け、英国やフランス、ドイツ、カナダ、スペイン、インド、日本など各国首脳が続々とメッセージを寄せた。
ジョンソン英首相はバイデン、ハリス両氏に祝意を伝えた上で、「米国はわれわれ英国の最も重要な同盟国だ。今後、気候変動問題から貿易や防衛まで、様々な重要課題について緊密に協力できることを楽しみにしている」との声明を発表した。
マクロン仏大統領は「バイデン氏とハリス氏に祝福を送る。今、私たちが直面する難題を克服するには、なすべきことが多くある。ともに協力して取り組んでいこう」とした。
ドイツのメルケル首相は「今の時代が抱える大きな困難に立ち向かううえで、大西洋にまたがる私たちの友好関係(の重要性)は何物にも代えがたい」と述べた。
日本の菅義偉首相は「日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域及び世界の平和、自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております」とツイートした。
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