[アンカラ 17日 ロイター] - トルコのチャブシオール外相は17日、ロシア製地対空ミサイル「S400」の導入について、後戻りしないと述べたほか、米国の制裁を精査した上で対抗措置を講じると主張した。
米国は14日、S400の購入を巡りトルコ大統領府傘下の国防産業庁(SSB)とデミルSSB長官、幹部3人を対象に制裁を科した。
チャブシオール外相は、トルコの防衛産業が外務省と法務省とともに制裁の打撃を検証しており、その結論によって対抗措置を決めると述べた。放送局Kanal24に対して「検証結果に合わせた措置を講じる」と話した。「制裁が厳しくないか厳しいかは重要でない。制裁自体が間違っている」と主張。「制裁の内容をみると、トルコを根底から揺るがすものでも大きな影響を与えるものでもない」とした。
トルコは、北大西洋条約機構(NATO)から満足できる条件で防衛兵器を入手することができなかったため必要に迫られてS400を購入したとしている。チャブシオール氏は「後戻りする場合は、すでに後戻りしている」と話した。
米国はS400がF35戦闘機や、NATOの広範な防衛システムに脅威となると主張。トルコはこうした見方を否定しており、S400をNATOのシステムに導入しないと述べている。
SSBのデミル長官はトルコの国営アナドル通信に対して、制裁が既存の契約に影響することはないほか、限られた一部のトルコ企業しか対象となっていないと話し、制裁の影響を軽視した。
チャブシオール氏は、バイデン次期米大統領の下、米国とトルコの関係が正常化するかとの質問に対して、米国のシリアにおけるクルド勢力への支援にトルコが反対していることや、16年のクーデター未遂を指導したとトルコ政権がみている在米イスラム指導者ギュレン師の送還に関する要求に米国が応じなければならないと答えた。「米国が戦略的に考えるのであれば、トルコは非常に重要な国だ。米国がそう言うなら、やらなければならないことを行動に移すべきだ」と話した。