[ロンドン 31日 ロイター] - 英国は31日午後11時(日本時間1月1日午前8時)、欧州連合(EU)から完全離脱し、加盟国として半世紀近く続いた歴史に幕を閉じる。今後は自由貿易協定(FTA)などEUとの合意に基づく新たな関係に踏み出すが、金融サービスや外交などの分野でなお合意できておらず、視界不良の船出となりそうだ。
英国のジョンソン首相は「わが国にとって驚くべき瞬間がきた。われわれは自らの自由を手にしており、それを最大限に活用できるはわれわれ次第だ」と大みそかのメッセージで述べた。
英EUの合意によると、総額9000億ドル(約93兆円)の貿易の約半分を占めるモノの貿易については、自由な移動が維持され、関税や割当枠も設けない。しかしモノの移動は通関作業など管理の対象となり、手続きがこれまでよりも増えて大きな混乱が予想される。
また、英国の輸出の柱となっている金融とビジネスサービスはほとんどが合意の対象外で、外交政策や安全保障・防衛などの面での協力も対象外となっている。さらに合意には移行期間や見直しに関する条項が含まれており、漁業や通商規則など多くの項目を巡って一段の協議が控えている。