[3日 ロイター] - 米大統領選で敗北を認めていないトランプ大統領は2日、ジョージア州のラッフェンスパーガー州務長官との電話会談で、同州の選挙結果を覆すのに十分な票を「見つける」よう圧力を掛けた。米メディアが3日公開した電話会談の録音で明らかになった。
トランプ氏は、昨年11月3日の大統領選で大規模な不正があったと主張している。
電話会談について最初に報じた米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏はお世辞や懇願、脅しを交えて、選挙結果を覆すようラッフェンスパーガー氏に要求。
「ジョージア州の住民や米国民は怒っている。再集計したと言うのは何ら悪いことではない。私が望むのは1万1780票を見つけることだ」などと述べ、同州で自身が敗北することは「あり得ない」と主張した。
同州はこれまで3回にわたり票の集計を実施し、バイデン氏の勝利を2回認定した。最終集計結果によると、500万票近い有効投票数のうち、バイデン氏は1万1779票の得票差をつけて勝利した。
トランプ氏は「われわれが選挙に勝利したのにそれをこのような形で奪うのは公平でないし、いろいろな意味で犠牲が大きい」とし「結果を再検証すると言うべきだ」とラッフェンスパーガー氏に迫った。さらに「ジョージアや他の場所で混乱が起きている。ジョージアだけではない。他の州も間もなくわれわれの側に転じるだろう」と主張した。
ラッフェンスパーガー氏はトランプ氏の主張を終始否定し、トランプ氏が公正で正確な選挙に関し、ソーシャルメディア上で拡散している虚偽の陰謀説を拠り所にしていると同氏に伝えた。
ラッフェンスパーガー氏は「大統領、あなたの持っているデータが間違いだというのがあなたの問題です」と述べた。
ホワイトハウスはコメントを控えた。ラッフェンスパーガー州務長官の事務所は、現時点でコメント要請に応じていない。
バイデン次期大統領の上級顧問、ボブ・バウアー氏は電話会談の録音について「米国の民主主義に対するトランプ氏の不名誉な攻撃の全容」を捉えていると指摘。「大統領が自身の政党の当局者に圧力を掛け、脅して、合法的に認定された投票数を取り消して結果を改ざんするよう仕向けているという反論の余地のない証拠だ」と語った。
ジョージア州立大学の法律学の教授によると、トランプ氏は選挙違反に関するジョージア州の法律や同様の連邦法に抵触した可能性があるという。
米大統領選で民主党の候補がジョージア州を制したのは数十年ぶりのことで、5日に行われる同州上院選挙決選投票で民主党候補が2議席をおさえ、同党が上下両院の多数派を獲得するとの期待が党内で高まっている。
一方、トランプ氏がジョージア州(選挙人16人)の結果を覆せたとしても、大統領選の結果自体がひっくり返ることはない。バイデン氏は1月20日に就任する予定。
*内容を追加しました。