[12日 ロイター] - 米政府は11日、ミャンマーでクーデターを主導した国軍のミン・アウン・フライン総司令官らを対象とする制裁を発表したが、アウン・サン・スー・チー国家顧問の支持者はさらに厳しい制裁の発動を海外諸国に求めている。
治安部隊は12日未明までに、不服従運動に参加した医師少なくとも1人など新たに複数の人を逮捕。一部の地域では逮捕者の連行を阻止するため、市民が現場に集結する場面もあった。
フェイスブック (O:FB)は12日、ミャンマー国軍が「誤った情報の拡散を続けている」として、国軍が発信する記事やプロフィールなどの全てについて、配信を削減する方針を示した。また、ミャンマー当局がコンテンツ削除を要請する権限を一時停止した。
ミャンマーに対しては、欧州連合(EU)の議員も自国政府に制裁の発動を要求。英政府も制裁を検討していることを明らかにしている。
アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)の支持者は、米国の制裁を歓迎しているものの、軍部を権力の座から引きずり下ろすには不十分だと主張。
ある支持者はロイターに対して「われわれは軍事クーデターに日夜苦しんでいる。さらなる行動を期待している」とし「こうした事態ができるだけ早く終わるよう望んでいる。それには、国軍関係者に対するより強力な罰や行動が必要なのかもしれない」と話した。
クーデターと、アウン・サン・スー・チー氏らの拘束を受けて、ミャンマーでは2007年の反政府運動「サフラン革命」以降で最大の抗議活動が巻き起こっている。
<軍事政権、受刑者を減刑>
一方、軍事政権は12日、受刑者2万3000人以上の減刑を発表。「平和、発展、規律のある新たな民主国家を確立する」措置の一環で「市民が歓迎する」だろうと主張している。
ミン・アウン・フライン総司令官は11日、公務員に対して職場復帰を呼び掛けるとともに、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、大規模な集会を中止するよう市民に求めた。
同国では11日も各地で抗議活動が行われた。デモ隊はヤンゴンの中国大使館前でも抗議活動を実施。デモ隊は、中国がミャンマー国軍を支援していると非難しているが、中国側は否定している。
<制裁の効果は限定的との見方も>
駐ミャンマー米大使を務めたデリク・ミッチェル氏は、米国による制裁について、日本やシンガポール、インドなど米国の同盟国からの「強力なメッセージ」がなければ、効果は限定的と指摘。
「ミン・アウン・フライン総司令官は既に制裁の対象になっており、今回の措置を気にはしないだろう」と述べた。
総司令官ら国軍幹部は、イスラム教徒少数民族ロヒンギャなどに対する迫害に関わったとして、以前から米国の制裁下にある。
*内容を追加しました。