[クアラルンプール 17日 ロイター] - マレーシアのムヒディン首相は17日、新たな景気刺激策を発表した。新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた国内経済の回復を目指す。
2020年の経済成長率はマイナス5.6%と、1998年のマイナス7.4%以降で最低となった。新型コロナ対策として導入した厳しい移動制限などが影響した。
同首相は200億リンギ(48億6000万ドル)規模の刺激策を打ち出すと表明。テレビ演説で「現段階では、景気回復に向けた戦略で、経済の再活性化を重視する」と述べた。
今回の計画の下では、新型コロナの免疫獲得に向けた予算を50億リンギに引き上げる。2021年度予算では当初30億リンギが計上されていた。
これに伴い、人口3200万人の80%にワクチンを接種する目標期限を来年2月から今年末に繰り上げる。
資金調達手段を多様化するため、証券委員会が規制を改善し、株式クラウドファンディングの対象を非上場民間企業に拡大する。
企業の上場を促すため、上場手数料を1年間免除する。四半期決算で赤字を計上した上場企業は、年間の上場手数料について払い戻しを受けられる。
同首相は商用5Gサービスを今年末から段階的に開始し、デジタル経済でイノベーションと新規雇用の創出を促す方針も示した。
個人・企業向けに追加の現金支援、補助金支給、訓練支援を行うほか、移動制限は感染地域にのみ適用する。
政府が刺激策を導入するのは今年2回目。1月にも37億ドルの刺激策を打ち出している。
昨年の刺激策の規模は3050億リンギ。現金給付、賃金補助、返済猶予などを盛り込んだ。