[ブラジリア 16日 ロイター] - ブラジルのサレス環境相は16日、ロイターに対し、現在計画している2060年ではなく、2050年までに国内全体でカーボンニュートラル(炭素中立)を実現するには毎年100億ドルの海外支援が必要になるとの見方を示した。
ブラジルの炭素排出の主因は森林破壊。同相は炭素排出量の削減に向けて繰り返し国際社会に支援を求めている。
同国はアマゾン熱帯雨林の森林破壊に歯止めをかけるため、海外からの資金調達について、米政府と交渉中。
同相は、米国主催で今月22日に開催される気候変動サミットで何らかの合意を発表するとは予想していないとした上で、米国との協議を継続する方針を示した。
ロイターは15日、両国の交渉が暗礁に乗り上げたと報道。ブラジルは森林破壊に歯止めをかけるため、前払いで資金の提供を求めているが、米国は結果を踏まえて資金を拠出することを主張している。
政府統計によると、ブラジルのアマゾン熱帯雨林の森林破壊面積は2020年に12年ぶりの高水準を記録。ニューヨーク市の14倍の面積の森林が破壊された。
同相は、年間100億ドルの支援のうち10億ドル分だけで、違法な森林破壊を現在の目標である2030年よりも前にゼロにできるとしている。
資金の約3分の1は環境対策担当の職員の増員に充てる予定。職員は軍警察から派遣する公算が大きいとしている。
残りの約3分の2はアマゾン地域の持続的な開発への投資に充てる。