[ソウル 2日 ロイター] - 韓国は2日、米国との合同軍事演習について決定は下されていないとした上で、演習が南北の緊張を生み出すべきではないとの立場を示した。北朝鮮は、韓国に演習を実施しないようけん制していた。
米韓は、主に春や夏に定例の合同軍事演習を実施している。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は1日、韓国に対し、演習を実施すれば、南北の関係修復に向けた取り組みが損なわれると警告した。
北朝鮮と韓国は先週、1年前に遮断された南北のホットライン(直通電話回線)を再開。韓国政府筋によると、両国は関係修復に向け、首脳会談を開く方向で協議を行っている。
韓国国防省の報道官は2日、軍事演習について米韓政府は協議しているものの、決定はしていないと説明。「(与正氏の)談話についてコメントはないが、演習に関して言えば、時期や方法は決まっていない」とした。
その上で、新型コロナウイルスの状況や合同防衛態勢のほか、「朝鮮半島の持続的な平和実現に向けた外交努力の支援」などについて考慮した上で決定すると述べた。
一方、韓国統一省の報道官は「いずれにしても(米韓演習が)軍事的緊張の原因になるべきではない」との見解を示した。詳細には踏み込まなかった。
米国防総省は、与正氏の警告についてコメントを差し控えた。その上で「合同演習は二国間の決定であり、いかなる決定も相互の合意に基づくものになる」と表明した。
米国務省報道官は、米政府は南北間の対話と取り組みを支持し、最近のホットライン再開の動きを歓迎するとあらためて表明。「朝鮮半島の完全な非核化の実現に外交と対話は不可欠だ」と述べた。
また、米国務省のプライス報道官は記者会見で、ブリンケン国務長官が今週の会議で、東南アジア諸国に対し北朝鮮への制裁の完全な履行を呼び掛ける意向だと明らかにした。