[ソウル 11日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は11日、韓国と米国は緊張を高めることを選び、「安全保障上の大いなる危機」にさらされているという朝鮮労働党幹部の発言を伝えた。
北朝鮮の金正恩総書記とトランプ前米大統領との歴史的な首脳会談で大きな役割を果たした朝鮮労働党幹部の金英哲(キム・ヨンチョル)氏は、北朝鮮の好意に「敵対的な行為」で応えたとして韓国と米国を非難した。
KCNAは10日、金正恩総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)党副部長の談話として、米国と韓国は自滅的な軍事演習を行うことによって安全保障上のさらなる脅威に直面することになると報じていた。
また、韓国は11日、北朝鮮は2日連続で南北間の直通通信回線(ホットライン)の定時連絡に応じなかったと発表した。
北朝鮮は過去に不快感を示すのにミサイル発射実験を行ったことがあり、今回も新たな実験を行うとの見方が強まっている。
金英哲氏は11日、米国との共同訓練を進めている韓国を非難し、朝鮮半島の平和よりも米国との同盟を選んだことについて、北朝鮮は「韓国が支払うべき代償を明確にする」と指摘。誤った選択をしたことでどれほど危険な選択をしたのか、どれほど大きな安全保障上の危機にさらされているのかを認識させると述べた。KCNAが同氏の声明を伝えた。
アナリストらは北朝鮮が将来の協議で交渉力を強めて韓国から譲歩を引き出したり、国内の経済危機から注意をそらしたりするために激しい言葉を並べ立てている可能性があるとの見方を示す。
ソウルにある梨花女子大学のLeif-Eric Easley教授は「金体制はパンデミック(世界的な感染拡大)に伴う長期のロックダウン(封鎖措置)を受けた経済の再開に苦慮している責任を転嫁しようとしている」と指摘。「北朝鮮はまた、制裁や非核化に関する米国の政策に異論を表明するよう韓国大統領選の候補者に圧力をかけようともしている」と付け加えた。