[カブール 13日 ロイター] - アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが、同国第2の都市カンダハルと第3の都市ヘラートを制圧した。地元当局者らが13日に明らかにした。駐留米軍の撤退に伴いタリバンが攻勢を続ける中、アフガン政府にとって大きな痛手となる。
地元政府当局者はロイターに対し「昨夜遅くの激しい衝突の末、タリバンがカンダハルを制圧した」と述べた。
アフガン政府軍は、同国内の米軍基地として2番目に大きかったカンダハルの空港を依然支配下に置いている。
主要都市のうち、首都カブールのほか北部のマザリシャリフと東部のパキスタン国境近くのジャララバードはまだ政府の勢力圏にある。しかし米国防当局者は今週、カブールが90日以内に陥落する恐れがあるとの認識を示している。
ウォレス英国防相はBBCに「内戦に向かっているようだ」と語った。同相はLBCラジオに対し、アフガンが国際武装組織アルカイダを再び保護し、西側諸国を脅かすようになれば、英国はアフガンに軍を再派遣するとの考えも示した。
国連はタリバンが首都カブールに到達すれば「市民に破滅的な影響」が及ぶと警告しているが、タリバンは軍事的勝利を目指しているとみられ、戦闘終結のための交渉はほとんど期待できない状態だ。
治安当局筋によると、タリバンはまた南部ヘルマンド州の州都のラシュカルガーと北西部のカラエナウを制圧した。中部ゴール州の州都フィールズクーフは12日夜に戦闘なしにタリバンに引き渡されたという。
ヘルマンド州ではアヘンの原料になるケシの栽培が行われており、英米軍などが長年タリバンと戦闘を続けていた。
タリバンは6日以降、34州のうち14の州都を制圧した。アルジャジーラテレビによれば、タリバンのスポークスマンは、これほど多くの主要都市が陥落したのは人々がタリバンを歓迎していることの表れだと語った。
州当局者によると、ヘラートでは、前線で指揮を執っていた地元軍閥トップのイスマイル・ハーン氏がタリバンに拘束された。タリバン側は、拘束した人物に危害を加えないと約束しているという。タリバンのスポークスマンも、同氏を拘束したことを確認した。
<出口戦略に批判>
米上院共和党のマコネル院内総務はバイデン政権のアフガン出口戦略について、ベトナム戦争での屈辱的なサイゴン陥落の「さらにひどい続編」に向かって米国が突き進んでいると批判した。
「バイデン大統領は戦争を終わらせる一番の近道は、戦争に負けることだと認識しつつある」と述べ、アフガン政府軍への支援を強化すべきと主張した。
米軍の支援がなければ「(イスラム過激派組織)アルカイダとタリバンは9月11日の米同時多発攻撃20周年をカブールの米大使館を焼き払うことで祝うかもしれない」と述べた。