[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は17日、アフガニスタンの首都カブールを制圧したイスラム主義組織タリバンが基本的人権を尊重し、テロリストによる国土の利用を阻止した場合のみ、EUはアフガニスタン政府と協力する方針を示した。
EUはアフガン情勢を討議するためにこの日、緊急外相会合を開催。ボレル上級代表は声明で、女性、若者、少数者を含む全てのアフガニスタン国民に対する基本的人権が尊重されることなどを条件に、EUは将来的なアフガニスタン政府と協力すると表明した。
その上で「EUはタリバンに対し、あらゆる状況下で国際的な人道に関する規律を順守するよう呼び掛ける」とし、「人道状況の悪化」に対応するためEUはアフガニスタンに対する支援を継続すると表明した。
その後、記者会見で、EUはタリバンを正統的な政府と承認しなかったとしても、タリバンと協議せざるを得ないと指摘。「タリバンを承認するとは言っていない。女性を守ることを含め、全てのことについてタリバンと協議しなくてはならないということだ」と述べた。
ボレル氏はまた、EU関係者とアフガニスタン人の協力者をカブールから避難させることが優先事項と表明。アフガニスタン人の協力者は家族を含め約400人になるとの見通しを示し、スペインがまず受け入れ、その後、移民として受け入れる他のEU加盟国に移動すると述べた。
タリバンによるカブール制圧は2014年のロシアによるクリミア併合以来の最も重要な地政学上の出来事だったとし、EUはトルコ、イラン、パキスタン、ロシア、中国などと一段と緊密に連携する必要があるとの認識を示した。