[ワシントン 24日 ロイター] - 米議会下院は24日、共和党優位の州における投票権制限に向けた動きに対抗するために民主党議員が提案した法案を、219対212の賛成多数で可決した。ただ、上院で可決する見込みは薄い。
法案は1965年に制定された人種差別を禁じる「投票権法」の主要な保護規定の効力を復活させる内容。ただ民主、共和両党の勢力が50議席ずつで拮抗する上院で可決するには、共和党から少なくとも10人が賛成に回る必要がある。これまでのところ支持を表明している共和党議員は1人のため、通過は困難とみられる。
ニューヨーク大学法科大学院ブレナン司法センターによると、今年に入り少なくとも18州が投票権を制限する州法を制定した。不正対策に必要との議論がある一方で、民主党側は州レベルの共和党議員が民主候補者を支持する傾向にある人種的少数派が投票するのを困難にする狙いで成立させていると批判してきた。
米連邦最高裁判所は1965年の投票権法の一部を無効とする判断を2013年と21年に示しており、今回の法案は最高裁の判断に対応する形で連邦政府による監視を強化する内容となっている。
テキサス州を含む州議会は、期日前投票の期間を制限し、郵便投票で提出が必要な本人確認書類を増やし、各党による投票所監視要員の権限を強化する法案を検討してきた。
民主党が有権者の権利抑制だと主張するのに対し、共和党は、民主党が州の選挙法制に対して連邦政府の優位性を確立しようとしていると反発している。
共和党上院トップのマコネル院内総務は、投票に関するルールは州レベルの決定に委ねるべきだと述べてきた。
民主党上院トップのシューマー院内総務は今月、9月にさらなる投票権改革法案の審議を進める考えを示した。