[東京 24日 ロイター] - 欧米がロシアに制裁を課す中、日本も親ロ派地域関係者の資産凍結などに踏み切った。日ロ関係に詳しいテンプル大学ジャパンキャンパス国際関係学科のジェームズ・ブラウン上級准教授は、2014年のクリミア侵攻時に比べて対応が速かったとする一方、制裁内容は「弱い」と話す。日本は東アジア情勢もにらみながらどう動くべきか、ブラウン氏に聞いた。
──日本の制裁措置の評価は。
「欧米はロシアの要人を対象として制裁を決めたが、日本の制裁は親ロ派が支配する2つの地域の関係者に限定しての制裁であり、弱い内容だった。決めるのに1週間以上かかった2014年のロシアによるクリミア侵攻時よりも速い決定だったが、当時と同じく今回も制裁内容は弱かった」
──制裁が弱くなる理由は何か。
「1つは北方領土問題。2つめはロシアに対して強い制裁を課すとロシアと中国の結びつきを強めてしまうとの懸念だ。3つめは安倍晋三元首相がロシアとの外交を重視していた影響があるのではないか」
──今回の制裁措置は効果的か。
「効果は薄いだろう。北方領土問題は前進していない。ロシアと中国の関係はすでに強くなってしまった。いまの首相は岸田文雄氏であり、自分で外交を決めるべきだ。弱腰の対応では、いわゆる舐められてしまうことになりかねない。少なくとも欧米と足並みをそろえるレベルに引き上げるべきだ」
──予想されるロシアからの対抗措置は。
「ロシアの船や飛行機が日本の領空に接近する恐れがある。さらにサイバー攻撃への警戒も必要だ」
──有事の際の対応はどうすべきか。
「日本の安全保障に直接的に問題が生じない限り、自衛隊は派遣すべきではないし、派遣もできないと考えている。日本は金融面などでウクライナを支援すればいい。米国も日本の立場をよくわかっているはずだ」