[ワシントン/北京/台北 2日 ロイター] - 米国は台湾との新たな経済的な連携を深める枠組みについて協議を開始する。複数のバイデン政権高官が1日明らかにした。
2人の高官の話では、米政府は「21世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」の構築に向けたロードマップ(行程表)の策定を今後数週間で速やかに進め、月内にワシントンで対面協議を行う方針だ。
米国側の説明によると、この枠組みを通じて、通関手続きの円滑化や汚職取り締まり、デジタル貿易と労働者の権利、厳格な環境基準、政府系企業活動や非市場的慣行の抑制といった分野で「包括的かつ持続的繁栄」を生み出すための合意を双方が強い決意で目指すという。
バイデン政権は先に、13カ国で連携するインド太平洋経済枠組み(IPEF)を打ち出したが、今のところ台湾には加入を打診していない。米政府高官の1人は、台湾を誘えば中国の反発を招くと懸念する声が一部の国から出ていると述べた。一方米議会では200人を超える議員がIPEFに台湾を取り込むよう求めている。
米政府が米台イニシアチブ構想を表明したのに先立ち、台湾の通商交渉責任者の鄧振中政務委員と米通商代表部(USTR)のビアンキ次席代表がオンラインで会談した。
鄧氏は、台湾が長らく望んできた米国との自由貿易協定を調印する機会が近く訪れることに期待を示すとともに、台湾は引き続きIPEF加入の努力をしていくと付け加えた。
中国商務省報道官は2日の会見で、21世紀の貿易に関する米台イニシアチブの立ち上げに「強く」反対すると表明。中国政府は台湾と他国の公的な接触に反対すると述べた。
報道官は「米国は台湾の分離派に誤ったメッセージを送らないよう、台湾との通商・経済関係を慎重に扱うべきだ」と述べた。
台湾の蘇貞昌行政院長(首相)は2日の閣議で、台湾は「世界のサプライチェーンでなくてはならない重要な地位を占めている」とし「このため、米政府は世界のサプライチェーンの耐性と安全を強化するため、わが国との経済・通商関係を強化する必要性を認識している」と発言。
ロシアのウクライナ侵攻と国際情勢の「劇的な変化」を受けて、「台湾が持つ世界の戦略的な地位の重要性が一段と明らかになっている」と述べた。行政院が声明で明らかにした。