[ワシントン 13日 ロイター] - 昨年1月の米議会襲撃を調査する下院特別委員会の13日の公聴会では、当時のトランプ前大統領側近らが、2020年の大統領選挙が不正だったとのトランプ氏の主張は根拠がないと本人に話し、その主張で敗北は覆らないと忠告していたと証言した。公聴会で公開された証言映像で、トランプ氏が聞く耳をもたなかったと一様に語った。
複数の側近やトランプ氏の親族らによると、票の集計機器が不正に操作されていたとの突拍子もない数々の主張について、評価に値しないと再三伝えていたという。
トランプ氏にずっと忠誠を尽くしてきたことで知られるバー前司法長官は、トランプ氏が「現実から乖離していた」と証言。選挙不正の主張は「狂っている」とはねつけた。
トランプ氏陣営の選対本部長だったステピエン氏も、開票作業が続いているのに、トランプ氏が反対意見を無視して勝利宣言したと語った。
ただ、特別委のロフグレン議員(民主党)は、トランプ氏も側近らも選挙不正の主張がうそと知りながら主張の拡散をそのまま続け、トランプ氏支持者らを議会襲撃に向かわせることにつながったと批判した。民主党議員らは、トランプ氏が「選挙不正を法廷でただす」との名目で約2億5000万ドルを支持者たちから集め、大半を直接関係ない使途に充てたとも指摘。ロフグレン氏は「大うそを広めただけでなく、それで大金をかすめ取っていた」と非難した。
世論調査によると、トランプ氏支持者の多くは今も選挙不正の同氏の主張を信じている。支持者の一部は州の選挙管理当局者に立候補する動きを進めており、当選すれば将来の選挙を監督する立場になる。トランプ氏も24年大統領選挙への出馬をにおわせている。
特別委の9日夜の公聴会では、やはりトランプ氏の側近や、娘のイバンカ氏でさえもが、証言映像でトランプ氏の選挙不正の主張を否定。この公聴会は夜のプライムタイムに中継され、全米2000万人近くが視聴したとされる。