[北京/台北 8日 ロイター] - 中国人民解放軍東部戦区は8日、台湾周辺の海空域でこのほど合同戦闘準備態勢を整える演習や巡視活動を実施したと発表した。
東部戦区の施毅報道官は声明で、台湾独立勢力を米国が支持するのは無駄な行為で、台湾海峡の平和を乱すだけだと主張した。
中国国防省の呉謙報道官は、米国と台湾による「共謀と挑発」に対抗して演習を行ったとする声明を発表した。
台湾の関係筋は、中国の戦闘機数機が台湾海峡の北部の中間線を通過したが、台湾の領空には入っていないと話した。中国機が中間線を超えること、特に台湾北西部から通過することはまれだと指摘した。台湾は戦闘機を緊急発進させたという。
同筋は、米国の全国共和党上院委員会委員長で上院軍事委員会メンバーであるリック・スコット上院議員が8日に台北を訪問したことに言及し、「これは明確な挑発のメッセージだった」と述べた。
台湾空軍は、この地域の状況を「完全に把握」しており、台湾の安全を「積極的に」守っていると表明した。
呉報道官はスコット氏の台湾訪問について、中米関係を著しく損ない、台湾海峡の緊張をエスカレートさせたと非難した。
「中国人民解放軍はいつでも戦争の準備ができている」とし「外部勢力の妨害と『台湾独立』の分離主義の企てを断固阻止し、国家主権と領土保全を断固として守るために必要なあらゆる手段を講じる」と強調した。
スコット氏は8日に台湾の蔡英文総統と会談した。その後、記者団に対し、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「世界は変化した」との認識を示した。
「自由を確実に守ることができる立場に誰もが立たなければならない」とし、米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾が将来的に参加することを期待すると述べた。
蔡氏はスコット氏との会談で「台湾は今後も米国と緊密に協力し、インド太平洋地域の安定と繁栄を共に守っていく」との考えを示した。