[メキシコ市 6日 ロイター] - メキシコのクルティエル経済相が6日に即日辞任した。左派ロペスオブラドール大統領が国家によるエネルギー部門統制を強化し、外国投資家の権益を巡ってクルティエル氏が米国やカナダとのあつれきの板挟みになったことが原因。メキシコは米国、カナダとの通商摩擦を回避する重要な交渉担当者の1人を失うことになる。
ロペスオブラドール氏のエネルギー国策方針に対しては、米国やカナダのエネルギー企業やその株主から公正な競争が阻害されることを懸念する声が高まっている。クルティエル氏はエネルギー政策で米国などとの通商摩擦が生じれば、メキシコにとって大きな経済損失になると懸念を強めていた。
クルティエル氏は一時中道右派政党に在籍していた経歴があるが、2018年の大統領選でロペスオブラドール氏を大きく支援し、昨年初めに経済相に就任。
米政府は今年7月20日、メキシコのエネルギー政策が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反しているとして二国間協議の開始を申し入れた。同氏によると、同26日にもうロペスオブラドール氏に辞任の意向を伝え、9月に再度辞意を念押ししていた。メキシコ当局者側はロペスオブラドール氏が順守を約束しているはずの協定に同氏の政策方針が違反することになる可能性が極めて高いとひそかに認めていた。しかし、クルティエル氏は政策擁護を余儀なくされる立場だった。
クルティエル氏はロペスオブラドール氏とともに会見に臨み、ロペスオブラドール氏の好きな野球にたとえて「人は立ち去る潮時を理解しなければならない」と語った。
ロペスオブラドール氏はクルティエル氏の意思を尊重するとした上で「われわれは慰留したが、彼女は信念を持つ女性だ」と強調した。後任は7日に発表するとも述べた。
地元金融紙の著名コラムニストはツイッターに、租税当局責任者のラケル・ブエンロストロ氏が次の経済相に就任することになると書き込んだ。ロペスオブラドール氏の考えをよく知る関係者の1人もロイターに、ブエンロストロ氏が経済相に起用される流れだと明かした。