中国がまたも利下げで経済の苦境を露呈

　中国が23日、去年11月以降6回目となる利下げを発表した。2つある政策金利のうち、1年物貸出金利は4.6％から4.35％に、1年物預金金利は1.75％から1.5％に引き下げられる。さらにそれだけではなく、市中銀行が中央銀行に義務的に預けるお金の割合・預金準備率も、18％から17.5％に下げられると発表した。
　中国の利下げが去年11月以降6回目なのはすでに述べた通りだが、前回は8月25日だった。この時も、2つの政策金利と預金準備率を全て同時に下げている。
　ただ8月後半は世界同時株安の真っ最中であったので、この時の利下げは株安を止める意味も含まれていたと思われる。それに対し、10月23日の利下げは特に株安になっているわけでもないのに発表された。
　もちろん、中国に利下げを決意させるに至った材料はいくらでもある。19日月曜に中国の第3四半期GDPが発表されたが、前年同期比で6.9％増と、リーマンショック後の2009年第1四半期以来の低い成長率だった。
　しかしこの数字に関しても、欧米のシンクタンクなどはかなり懐疑の目を向けている。実際10月13日に発表された9月の貿易統計では、輸入が前年同月比で20％も減っていた。GDP以外の他の経済指標から見る限り、中国の成長率は6.9％ではなくもっと低いと見られている。
　今回の利下げによって、株安がなくても利下げをせざるを得ないほど中国経済が厳しい状況になっていると読むことができる。利下げの発表は金融市場にリスク選好ムードを広げ、米ドル/円も約1ヶ月ぶりに121円台に乗せた。ただし中国経済の根本的な治療になるかどうかはかなり疑わしい。