仮想通貨取引所のハッキングが相次ぐ中、取引所リスクを精査する方法

発行済 2018-07-11 19:11
更新済 2020-09-02 15:05
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最近ではニュースで数週間おきに、取引所がハッキングされたという見出しが見られるようになった。

昨日(6日)、イスラエルに拠点を置く仮想通貨取引所Bancorがハッキングされ、235万ドル相当の仮想通貨を盗まれたというニュースが飛び込んだ。これにはEthereumや、NPXS、そしてこの取引所の独自通貨 BNT が含まれている。

6月には韓国に拠点を置くConrailがハッキングを受け、NPXS、 DENTTron など約4000万ドル相当の仮想通貨が盗まれた。同月、韓国のBithumbがハッキングされ、Bitcoin、Ethereum 、Bitcoin Cashを含む170万ドル相当の仮想通貨を盗まれた。

11取引所におけるハッキング被害額ランキング

CryptoAwareの調べによると、いまだに2014年のマウントゴックスのハッキング事件が最大の被害額であるが(上図)、ハッキングや詐欺による被害額は累計17億ドルにいたるという。同サイトは、去年から現在にかけて最低でも月一回のペースでハッキングされているという。そして、2018年は現在進行中で記録的な被害を受けている。

投資家たち自身で身を守る方法はある。流動性、取引利益、セキュリティーや手数料を考慮し、取引所の様々なリスクを知ることはその第一歩だ。

専門家が推薦する取引所リスクの精査方法は以下の通りだ。

産業成長と伴う弊害

「仮想通貨の需要は、仮想通貨取引所の成長をはるかに上回っている」と、BotChainの Rob May CEOは述べた。

仮想通貨が持つ潜在的成長を見込み、投資を熱望する投資家の数は急激に増えたが、伝統的な金融商品と同じように注意を払わねばならない。

メイ氏は、「むこう見ずな投資家たちは、仮想通貨成長期におけるさまざま困難に直面するだろう」と言及している。

取引所選びのポイント

CryptoXchange の創設者であるRoni Baibochaev氏は、取引所を選ぶ際、注意すべき8つのポイントがあるという。

  • 取引所は一日当たりどれくらいの利益をあげているか?
  • どこに拠点をおく取引所なのか?
  • ライセンスを持って運営しているのか?
  • KYCのスピードはどれくらいか?
  • カスタマーサポートは手厚いか?
  • セキュリティーはどうなっているか?
  • 顧客預かり資金をどのように管理しているか?

「今日ではたくさんの取引所を利用することができる。ひとつの取引所で投資するならば、資金を安全にするために投資家はこれらの質問(上記)を吟味するべきだ。」

とBaibochaevは述べた。

Bethereumの共同創設者であるPeter Gal氏はBaibochaevに賛同する。

「投資家は流動性(取引成立のしやすさ)とセキュリティーを気にかけるべきだ。例えば、二段階認証が利用できるか、メール認証や暗号化、コールドウォレットで管理しているか、カスタマーサポートの質、取引手数料や、カスタマーエクスペリエンスなどだ。」

取引所の裏側の人たち

取引所の裏側の人たちを知ることは大事なポイントだ。

Baibochaev氏は、取引所リスクを精査する上でいろいろ考えなければいけないことはあるが、取引所を運営してる人をしることが一番大事なことであると信じている。 しかし彼は、投資家たちが運営者を知るだけでは不十分であるとしている。

Bitjobの共同設立者であるDror Medalion氏は、投資家が取引所を運営している人々のキャリアをチェックし、彼らが経験を伴ったプロフェッショナリズムを持ち合わせているか、もしくは単に詐欺師であるかを確認する必要があるという。まずGoogleで検索することが先決だろう。また、どのベンチャーキャピタルが取引所に出資しているかを確認することも必要だろう。

手数料

大半の投資家にとって、手数料が一番の関心であることが多い。

UXの共同設立者であり、ブロックチェーンを基盤とするロイヤリティ・エコシステムqiibeeの設計者であるGianluca Giancola氏は、トレードや、送金、預入手数料は取引所によって大きくことなり、頻繁に取引するトレーダーにとって手数料は大きなポイントとして見られることを警告している。

Ripio Credit Networkの創設者兼CEOであるSebastian Serranoは、手数料よりも「投資家たちは、銀行やデジタルウォレットのように、お金を預ける先として信用できる取引所を選ぶ必要がある」と述べた。

取引所のセキュリティー

bitJob社の共同設立者のDror Medalion氏は、資産の取り扱い方も考慮する必要があると強調する。

取引所選びで他に大事な要素は、局所的な仮想通貨に対する規制である。ポロニエックスの例をとると、米国が仮想通貨投資のポリシーを変更するまで、同取引所は大手仮想通貨取引所のひとつだった。私たちは取引所からコインをプライベートウォレットに移すことを推薦している。

『プライベートキーを持っていなければ、ビットコインを所有していないのと同じ』という言い回しがある。これは、いくら取引するプラットフォームが安全だと思い込んでようが、一日でハッキングされてしまうことがありえるということだ。なぜなら、大抵の取引所は一つのウォレットですべての資産を管理しているからだ。だから取引後、投資家は、ひと手間かけてプライベートウォレットで自分の資産を管理すべきだということである」

Hosho社のYo Kwon CEOは、仮想通貨取引所はいまだハッキングされやすいということを認めている。セキュリティーに対して気を付けていても、法的リスクを含む潜在的なリスクが存在する。結果的に資産が凍結されたり、口座にアクセスできなかったりする可能性もある。Kwon氏は次のように述べた。

「仮想通貨を安全に保存する方法や、即座に資金を取引所から引き上げる最善策を学ぶべきだ。さらなる規制やセキュリティ手段が実施される中で、私たちは未来で仮想通貨の安全な貯蓄ができるようになることを願っています」

ブロックチェーンを使用したゲーム配信プラットフォームUltraの共同CEO Nicolas Gilot氏は、現在では200もの仮想通貨取引所が存在すると述べた。また、仮想通貨取引所はほぼ毎日に近いペースで生まれているという。

これらの取引所は必ずしも規制に準じてなかったり、ハッキングや倒産に対する補償がなかったりする。Gilot氏は次のように語った。

「特別な理由がない限り、出来高トップ15の取引所から選ぶべきだ。取引したい通貨があるかどうかや、送金手数料などの要因はおいて、大抵の大手取引所は地理的な制限があり、決めた取引所が規制を受けないか気をつけよう。またお金や仮想通貨を口座に入れる前に、出金方法を確認するべきである。銀行は仮想通貨取引所からの出金を制限する動きがある。」

「オープンソースの分散型取引所は、ハッキング被害をさけられる最も安全な手段だ」と、Pionionの共同設立者であるJason Rosenstein氏は語る。その上、セキュリティー面で懸念がある中央集権型の取引所は仮想通貨の分散型の信条とは真逆である。

Block Stocksの共同設立者Estefano Elhawary氏は「要点は取引所に仮想通貨を置いたままにしないということだ」と語った。Elhawary氏は、次のように仮想通貨の資産管理について強調した。

「極論であるが『もしプライベートキーを持っていなければ、それはあなたのコインではない』ということだ。多くの人は正しい貯蓄手段をやらず、それがセキュリティーリスクになっている。最近の韓国のハッキング事件や、時の最大手だったマウントゴックスが崩壊したことをよく考えるべきだ。どの取引所を利用するべきかを探る上で、出来高や会社の歴史を知ることはよい指標である

しかし何度も繰り返すようであるが、どんなトレーダーや投資家も、仮想通貨を扱ううえで、安全なストレージを使い、セキュリティーに気をかけることを私たちは強く推薦している」

免責事項:上記にあげたポイントは調査目的のためであり、これらは投資家へのアドバイスや推薦ではない。取引所を選ぶ上で、自分自身での調査を行うことが大事である。

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