この記事は2018年8月16日5:51に投稿されたものです。
話題になっている通り、トルコ・リラは現在苦しい状況である。月曜日、トルコリラの価格は、反発前にドルに対し7リラ以上下落した。このトルコリラの問題が続くとすれば、原油市場にも影響が出るだろう。特に、アメリカ政府によるイランの原油輸出への制裁が11月に発動したときにだ。
トルコは、イラン原油や 天然ガスの主要輸入国だ。実際、2018年の第1四半期においてトルコは50%以上の原油と天然ガスをイランから輸入している。トルコはイランと天然ガスの2026年までの契約がある。また、トルコはイランから95億立方メートルの天然ガスを発電のために輸入している。
トルコリラが下落することにより、トルコは原油や天然ガスを世界の国々から輸入することが厳しい状況である。トルコは原油や天然ガスを生産していないが、反対にこれらの原料の消費大国である。トルコリラ安により、トルコは必死になって不利なレートで避け、安く原油や天然ガスを買おうとしている。一方、イランはどんな通貨に対しても、必死に原油や天然ガスを売ろうとしている。
アメリカによるイラン原油・天然ガスへの制裁は11月に発動されるが、イランはすでに顧客を失い、とても難しい状況に陥っている。イラン政府は原油による資金が必要であるが、制裁により輸出先の国と米ドルによる取引ができなくなってしまう。また、ユーロなど他の通貨も、欧州の銀行がアメリカからの制裁のリスクを避けたいため使えなくなってしまう。イランは原油のために、中国人民元など他の通貨を受け付けているが、人民元は中国向けにしか使えないという状況である。
しかし、トルコとイランは地理上でとても近い。イラン北部とトルコの南部に、その2国の国境がある。このエリアの大半はクルド人が住んでいる。クルド人は、トルコ、イラン、シリア、イラクをまたがり住んでいる。
トルコリラの下落により、トルコにとってイラン原油と天然ガスはより魅力的なものになった。そして、イランにとってもトルコは魅力的な消費大国である。
イランはトルコリラで原油と天然ガスの取引を受けつける可能性がある。特に、トルコとイランの国境境のエリアではそうであろう。国境境では、いろんな通貨を使って取引されることは珍しいことではない。例えば、ニューイングランド北部では、カナダドルと米ドルが混ざって使われる。中央アメリカやカリブ海諸国は米ドルが受け入れられている。
また、トルコ政府は米国人牧師の身柄を拘束したまま、アメリカ政府へ怒りの姿勢を見せ、米国の影響から独立をしようとしている。トルコのエルドアン大統領は国民に対し、iPhone(NASDAQ:AAPL)など米国製品へのボイコットをするように呼びかけている。トルコの製油所にとって、米国のイランへの制裁を無視しイラン原油や天然ガスを購入することは合理性に欠いた手ではないだろう。
マーケットウォッチャーがイランへの制裁が原油価格にどれくらい市場に影響し上昇するのか予測している中、トルコの動向は監視すべき重要な要素である。イランからの輸入を削減するより、トルコはこれらの近隣諸国から輸入を増やし、トルコリラ建てで支払うことを進めるだろう。これは11月と続く月々で、予想より少ないイラン原油が市場からそがれるということを意味している。