店舗型の脅威であるイーコマースの懸念を払拭するほどの十分な武器がない中、投資家は上昇するウォルマート (NYSE:WMT)に対しシンパシーを表し始めている。
ウォルマート株は、8月16日の第2四半期決算がアナリスト予想を上回ったことにより、10%以上上昇した。このニュースを受けて、ウォルマート株は半年間の低迷を乗り越え、店舗型のリテーラーはイーコマース大手であるAmazon (NASDAQ:AMZN)の影響により衰退するという懸念を和らげている。
ウォルマートの既存店売上高は第2四半期で4.5%の上昇した。それは市場予測の倍であり、数十年の中で最大の成長であった。
その上昇は、各店舗での消費者での購買意欲と来客数が伸びていることに起因される。食料品は、新鮮な食料品提供できるよう改善したため、9年間で売り上げが伸びている。ウォルマートの通年の既存売上高と調整後純利益の予測が押し上げられている。
この売上高の増加に関し、ウォルマートは、デジタルプラットフォームへの巨額の投資はうまくいっているようだ。米国のウォルマートのオンラインストアは上昇基調で、去年の同時期より40%成長している。ウォルマートの通念を通した、オンライン売り上げの成長目標は手の届くところにある。
投資家の心の中にある最大の懸念事項は、ウォルマートの第2四半期の良い結果は今後とも上昇を導くかということだ。
この観点からいうと、ウォルマートは去年23%の上昇した後も成長にてこずっていた。他のトップリテーラーである ターゲット (NYSE:TGT)、コストコ (NASDAQ:COST)、ホーム・デポット (NYSE:HD)は40%から90%の上昇をみせ、ウォルマートより好調である。
強い経済 VS 利益率の低下
ウォルマートの第2四半期における財務的なパフォーマンスは、店舗型リテーラーとして来客数を増やし戦略的に成功していると言えるだろう。
また、「クリック&コレクト(オンラインで注文し、店舗で受け取るサービス)」もオンラインでの売り上げを増やし、結果に出始めている。
とはいえ、減税によりさらに消費を加速され、好景気な米国経済が売上の見通しを上げていることは確実であり、投資家が将来におけるウォルマートの成長に対し懐疑的になっている。現在のウォルマートの好調は、彼らの戦略的改善のおかげなのか、好景気な米国経済からの恩恵の結果なのかということである。
また長期投資家にとって、ウォルマートがアマゾンと挑戦するために膨大な投資をする中で、利益率が下がり続けるかというポイントも大事である。売上総利益は5四半期連続で下がっている。第2四半期では17ベーシスポイント下落した。第1四半期では23ベーシスポイント下落した。
Walmart.comのCEOであるMarc Lore氏は、オンラインの利益は、在庫管理や配送料が利益率のボトムネックになり、これからも少なっていくだろうと述べた。ウォルマートは営業利益はは3.7%下落した。
要点
イーコマースの脅威の中で、投資家にウォルマートの長期成長力があることを示すことに成功したことは明らかだろう。ウォルマートの店舗とオンラインのハイブリットモデルの成功は、ウォルマートの膨大なネットワークと、オンラインの使い勝手が合わさり、良いカスタマーエクスペリエンスを生んでいる。
しかし、私たちはウォルマートの営業利益のダメージとコスト負担の上で、ウォルマート株の中期的な大幅な上昇があるとは見ていない。すでに米国で49%のオンラインマーケットでシェアがあるAmazonに追いつくために苦労しながら、直近から中期にかけて、ウォルマート株は引き続き停滞することが考えられる。