米中の貿易交渉によって揺れる為替
ユーロ、ポンド や他の主要通貨の上昇は魅力的であるが、今後24時間で大きくポジションをとることを控える方が賢明だろう。EU離脱(ブレクジット)交渉はうまくいっているが、米中間の通商交渉はいまだに不明瞭であり、結果によっては同通貨の上昇トレンドを簡単に逆転してしまうだろう。もし、更なる貿易交渉の場が設けられないとすれば、上昇相場は崩壊する可能性がある。 記録的な高値であるS&P 500 は下落することが予想され、EUR/USDのようなハイベータ通貨(ボラティリティーが高い通貨)は、米ドルが上昇することによって停滞するだろう。しかし、中国と米国がうまくいき、更なる交渉があるとすれば、ハイベータ通貨の上昇は続くことになるだろう。
トランプ大統領は、今週の米中間の会談に対し大きな成果はあげられないだろうと考えている。しかし、好材料となるハードルは高くないだろう。投資家の楽天的な考えや、なにかしらのいいニュースは十分な上げ材料になる可能性がある。もし、米国と中国の協議がさらに設けられるのならば、市場は今月末に予定されている追加関税賦課が取り下げられることを望んでいる。実際に良いニュースが起これば、USD/JPYは111円まで上昇することが予想される。また、FOMC議事録は、 9月の利上げの計画を強調することによってドルを救うことになるだろう。
ポンド
一方、火曜日に一番のパフォーマンスをみせたのはポンドだ。 ブレクジットのEU側の首席交渉官であるミシェル・バルニエ氏が、「交渉は最終段階に入り、一段と交渉を加速させる」と発言し、ポンドは上昇した。英欧州連合離脱大臣のドミニク・ラーブ氏は、10月の欧州理事会までに合意できる自信があると語った。バルニエ氏のこの交渉努力は、現在ショートカバーされて上昇している理由だろう。GBP/USDの上昇は20日の移動平均線の水準で止まったが、1.30を超えるだろうと考えられる。EUR/GBPは、現在のイタリアでの騒動がすぐには収まらないと考えられるため売られるだろう。またこの点に関連して、EUR/USD はショートカバーにより、1.15を上回り、日次高値を1.1601をつけている。ユーロ圏の主な指標やニュースがない中、この動きはショートカバーと投機的な買いによるものである。
オーストラリアドル
豪ドルは特に、米中の貿易交渉に敏感である。 もし、米中の貿易交渉再開するのなら、AUD/USDは74セントまで上昇する可能性がある。しかし、もし貿易交渉が進まない場合、AUD/USDは0.7250まで下落すると考えられる。 オーストラリア準備銀行の政策決定会合の議事録は、豪ドルに少しの影響しか与えなかった。また、 鉄鉱石価格の急落とターンブル豪首相の続投決定は、投資家たちを不安にさせている。 乳製品価格が急落したのにも関わらず、ニュージーランドドルは好調だ。ショートカバーによってNZドルは上昇している一方、ニュージーランドの主要産業である乳製品業界の不安を払拭する要素はなく、少なくとも5ヶ月中で2番目に大きな下落率であり、経済にとって悪い兆候だろう。第2四半期小売売上高は停滞し、NZD/USDは20日の移動平均線の67セントの水準を拒むかもしれない。
カナダドル
小売売上高の発表が控え、カナダドルは水曜日活発になるだろう。 労働市場は成長しているが、火曜日の急激な卸売売上高の下落は、小売売上を弱くさせると考えられる。小売売上高が予想より減少する場合、USD/CADは簡単に1.31の水準まで下落する可能性がある。