今週いまのところEUR/USDが主要通貨中で一番良いパフォーマンスを出している。しかし6日間連続上昇の後で、もうすぐ調整が行われる可能性がある。今週に、米国とユーロ圏において主要な経済指標の発表はないが、ユーロは ショートカバーとドル の投げ売りによって上昇している。水曜日、トランプ大統領に関する汚職事件のニュースによって1.16を上回ったが、投資家はすでにこれらの懸念を脇に押しやっている。もし現職の大統領が起訴される可能性によってドルを下落させ続けさせないならば、上昇する望みはない。
ユーロが下落する理由はたくさんある。
まず、ユーロ圏のPMIの発表は明日にあり、ドイツの製造業受注と 鉱工業生産指数 は 製造業と サービスセクターにおいて減少が見込まれている。現在はユーロ圏は貿易摩擦の影響は薄れているが、停滞する兆候が出始まっている。
2つ目に、イタリア債は大幅に下落している。海外投資家はイタリア債を投げ売りし、借り入れコストの上昇を招いている。また、政府はイタリアの利回りとドイツの利回りのスプレッドが拡大することを懸念している。連立政権は予算案を10月に発表する見通しであり、支出がイタリアの財政目標を打ち壊す懸念がある。イタリア経済は低迷するとみられ、債券価格に更なる圧力がかかると予想されている。
3つ目に、米中間の貿易協議で合意がされる可能性が薄い。
そして4つ目は、EUR/USDの上昇は20日の移動平均線と50日の移動平均線を上抜けした。もし、EUR/USDが1.1650を超え、次に1.18の水準で止まるならば、この上昇ペースは戻り売りのタイミングとしては完璧だ。
FOMC 議事録は、米ドルを傷つけなかったが、ドルにとって少々悪いニュースがあった。連邦準備銀行は 利上げ は経済を維持するのに必要であり更なる利上げはもうすぐあるとしているが、彼らは貿易に関して市場が停滞するリスクについても考えているとしている。議事録は、FOMC声明全文よりタカ派ではなかったが、FRBが金利は翌月上がることを明かしたことにより、ドルへの影響は限定的だった。ドルは 豪ドルを除く、すべての主要通貨に対し下落した。新築住宅販売戸数は木曜日に発表を控えているが、ドルを動かす要因にならないだろう。また、火曜日トランプ大統領の元個別弁護士のマイケル・コーヘン氏が選挙法違反に関し罪を認めた後、トランプ大統領がこれを指示し、さらに米大統領選のロシアの介入についても知っていたと明かした。これはどのようにトランプ大統領に影響が与えるかは定かではないが、ドルの値動きを見ると投資家はそれをど懸念しているようではなさそうだ。
いまだに、米中間の貿易交渉に注目する必要がある。現在のところ進展はないが、木曜日に米国政府は160億ドルの商品に対し追加関税をする計画に変わりはないと語っている。彼らは最後の最後で延期させることを決めるだろうか?もちろんその可能性はあるし、 USD/JPY や、リスク選好度において好影響を与えるだろう。もし延期せず、貿易協議が大きな進展がないのなら、同通貨の大幅な下落が招かれると考えられる。ジャクソンホール会議は木曜日に始まるが、メインイベントであるパウエル議長の講演は金曜10時(ET)である。.
一方、ポンドは、 ドルが弱いことや、ショートカバーにより上昇している。 カナダドルは、 原油価格3%の上昇を見せる中、先月の小売売上高の下落により下落している。豪ターンブル首相に反対する閣僚らの辞意表明が相次いだことによりAUDの上昇は拒まれた。また ニュージーランドドルは好調な小売売上高によって支えられている。