投資家たちが貿易戦争の悪化を無視し、株式市場が活況になることで、先週の米国主要株価指数は最高値を出した。この驚異的な上げ相場を止めることができるものはほとんどないようだ。
それにもかかわらず、世界の大手企業の中には、中国の輸入品への米国の新関税によるマイナス影響を警告している企業もある。世界最大の小売業者であるウォルマート(NYSE: WMT)は、ライトハイザー米国通商代表への書簡の中で、大規模小売店は関税によって価格を引き上げなければならないだろうと伝えた。アップル(ナスダック: AAPL)、ターゲット(NYSE:TGT)、サムソナイト(OTC: SMSEY)など他の多国籍企業からも表明された同種の懸念に続き、この書簡も出された。
貿易戦争に加えて、来週の投資家の関心は、水曜日の連邦準備制度理事会(FRB)の公定歩合決定に変わってくるだろう。市場のコンセンサス予想では、49年間で最も強い労働市場を背景に0.25%の利上げとなっている。投資家は米国経済の健全性やインフレ圧力、米中間の貿易戦争の影響についてFRBの評価に注目すべきだ。
忙しくなるであろう週が始まるが、来週に値動きがあると思われる3つの株を紹介しよう。
1.ナイキ
ナイキ(NYSE: NKE)は、オレゴン州ビーバートンのスポーツシューズ、衣料品、アクセサリーのメーカーで、火曜日の市場終了後に2019年度第1四半期の決算を発表する予定だ。 ロイターのアナリスト予測によると、同四半期のコンセンサス予想のEPSは1株当たり0.53ドルとなっている。
米国での販売の勢いから判断すると、このスポーツウェア大手はアナリストの予想を上回る可能性が高い。ナイキの株式は86.04ドルという最高値の少し下である85.55ドルで金曜日の取引を終えた。過去1年間で60%以上も株式は上がっており、この強気相場で最も優れた配当株の1つであることが証明されている。
優れたリターンを実現するための正しい道のりであるという最大の兆候は、北米での売上の復活だ。米国の販売が縮小していた3四半期の後、同社は第2四半期にその傾向を逆転させたのだ。これは強い経済と減税、賃金の上昇によって消費者がショッピングモールに戻ってきたことが理由となっている。
ナイキが収益の半分以上を海外で稼ぐ強力なブランドである時に、このような国内市場でのすばらしい逆転劇ができた。それでも、これらの予想の大部分は既に株価に織り込まれているので、たとえ予想を上回ってもナイキの株式は大きな上昇をしないだろう。
2. コナグラブランズ
シカゴに本拠を置く冷凍食品大手は、木曜日の市場が開く前に2019年度第1四半期の決算を発表する。 ロイターによるアナリスト予想では、8月31日までの期間(第1四半期)のEPSは0.56ドルとなっている。
6月にピナクルフーズ(ニューヨーク証券取引所:NYSE)を買収するための現金および株式売買契約を81億ドルで発表した後、投資家に注目されたコナグラブランズ(ニューヨーク証券取引所: CAG)の最新の収益は、冷凍食品需要の復活に大きな賭けをしている。 しかし投資家はそれほど興奮していないようだ。
バーズアイのようなブランドを持つ冷凍食品会社でコナグラブランズを補強しているにもかかわらず、買収が高すぎるという懸念から、契約発表日に株式は下落した。 6月の急落の後、株式は高いボラティリティのままであり、 金曜日に37.45ドルで終了している。
もし冷凍食品セグメントが弱い場合は、さらなる売りを予想しよう。 コナグラがピナクルとの契約に支払った金額を正当化するのは難しいだろうから。
3.ティルレイ
市場の最も投機的な分野に注目しよう。 ブリティッシュ・コロンビア州に本拠を置く医療マリファナのティルレイ社(Tilray、ナスダック: TLRY)は、株が先週ジェットコースターのように大きく浮き沈みをした。
ブレンダン・ケネディ(Brendan Kennedy)最高経営責任者(CEO)が大麻は世界的な投資の機会になるとCNBCで語った後、株価が300ドルになってから半分以上下落する大相場の中で、123ドルで金曜日の取引を終えた。
彼の発言は、ちょうど1日前に米国麻薬取締局(DEA)からテスト目的での米国への大麻輸入の承認を得たことによって後押しされた。また、来月のカナダによるレクリエーション大麻使用の合法化も支援材料になった。
コロナビールの製造元であるコンステレーション・ブランズ(Constellation Brands)が、Canopy Growth(ニューヨーク証券取引所: CGC)に38億ドルの投資を発表したときに、最近の投資家の熱狂は加速した。これは世界的な投資家たちもこの成長分野の価値が分かったということだ。
ティルレイ株の売りが来週中に加速すると、セクターがバブル領域にあることを投資家が不安に思うかもしれない。それは大きな株価の修正が近づいているという注意になるかもしれない。