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ドルの上昇が続く4つの理由

発行済 2018-10-04 19:24
更新済 2023-07-09 19:31
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昨日はドルをロングするのに絶好の日であった。ドルは全ての主要通貨に対し上昇し、中でもUSD/JPY11ヶ月ぶりの高値に達している。強いドルによって豪ドルは最も影響を受けた一方、中でもポンドへの影響は少なかった。

世界の経済指標は停滞している一方、アメリカの経済指標は毎回のように予想を上回り、景気は好調である。3日に公表された米ISM非製造業購買担当者指数によってサービス業は過去20年中でもっとも早いペースで拡大している事がわかる。また、ISM非製造業購買担当者指数は、価格、新規受注、受注残高、雇用の改善の幅広い改善がみられる。それに応じて、米国10年債利回りは7年間の最高水準まで上昇しており、ドルを上昇させている。

ドルの上昇を続ける見込みが強い理由は以下の4つである。

  1. 非農業部門雇用者数増減によって、米国経済の強さを確認できるだろう。ISM非製造業雇用指数 の非製造業ISMは3ヶ月連続で続伸しており、9月の非製造業部門の雇用者の伸びも20万を超えてくると予想される。
  2. FRBのタカ派のコメントー水曜日、FRBメンバーの多くはインフレ上昇リスクを感じていることが分かる。また、パウエルFRB議長は経済の拡大はしばらく続くと考えている。米ISM非製造業購買担当者指数でサービス業の価格は上昇したので、生産者物価指数(PPI消費者物価指数(CPIも同様に上がる可能性が高い。
  3. 10年債利回り3.5%まで抵抗になるものがない。そして、USD/JPYも少なくとも115円まで上がると見られている。ーUSD/JPYは200週の移動平均線より上回っており、これは1月初旬以来はじめてである。
  4. 「米国以外」の経済指標は良くないー米国の経済指標は連日予想を上回ってはいるが、ユーロ圏、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドは予想より弱い情勢である。このように、米国と他国の景気が相反しており「なぜ、 ドルの上昇が続くのか」という疑問の大きな理由のひとつである。

メイ英首相はEU離脱合意に強気演説

メイ英首相の保守党大会は強気演説であった。ーメイ英首相はEU離脱(ブレクジット)に有意義な進展がなかっただけではなく、悪い条件をのむくらいなら「合意なき離脱(ノーディールブレクジット)」も恐れないという姿勢であった。

英国の経済指標では、 サービス業購買担当者景気指数(PMIが54.3から53.9に下がった。

一部の投資家はラーブEU離脱相のEU側は11月までに合意することを望んでいるというコメントによって安堵したかもしれないが、ポンドがドル高に影響されなかった主な理由は投機的なポジショニングの問題だろう。ポンドはショートが積み上がっており、悪いニュースがない限り、更にショートを取る理由はなさそうだ。米国の非農業部門雇用者数増減が予想よりはるかに結果が良かったため、もし「合意なき離脱」の可能性があり、英国のPMIが良くない結果だった場合、強いドルに対し耐えていたポンドも下落する可能性がある。

EUR/USD 6日間連続の下落だけでなく、現在1.15を割りそうである(追記:5:00に大陰線で割った)。ユーロ圏のPMIと 小売売上高の減少が、ドル高に貢献している。しかし、ユーロの下落の主な理由はドル自体が強いことに起因している。

特にイタリア債が下落している中で、ドイツ債権利回りは大幅に上昇しユーロに良い影響を与えるはずであったが、ただ市場の米ドルに対する需要が単に強かった。

また、イタリアのトリア財務相が財政赤字を削減することを約束したことによって、イタリア債の売り圧力が緩和された。ERU/USDで1.15の水準は注目であり、もし割れれば下落が止まるのは1.14だろう。

豪ドル(AUD)とNZドル(NZD)は下落

もっともパフォーマンスが悪かった通貨は 豪ドルNZドルであった。

オーストラリアの建築許可件数が予期せず急減したため、ドル高を背景に下落の勢いが増していった。

豪ドルとNZドルは主要通貨の中でも、米中間の貿易戦争にもっとも影響を受けやすい通貨である。

国内の経済指標が悪いことは、中国の経済成長が停滞していることよってオーストラリアとニュージーランドの経済を悪化するのではないかという懸念を助長させている。オーストラリアは住宅の経済指標が弱くなっている一方、ニュージーランドは求人広告件数や商品価格指数が下がっている。

カナダ債利回りの強い上昇や、原油価格が1%以上上昇していたが、カナダドルも同様にドルに対し下落した。これも単に米ドルが強いためである。{{ecl-185||IVEY PMI}}は木曜日に発表が予定されている。

もし、カナダ銀行が利上げをするのなら、強い製造業PMIの結果が必要である。製造業PMIは今年4月に数年来の高水準から減少し、まだ改善はみられていない。

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