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ドル円の持ち合い相場は大きく動くのか

発行済 2018-11-27 17:01
更新済 2023-07-09 19:31
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今日の好パフォーマンス通貨は米ドル/円であった。5日間の持ち合い相場を破り、113.50円を上回って推移していた。今日の相場変動には様々な要因が考えられるが、主な要因はブラックフライデーによる影響だろう。

アドビ・アナリティクス(Adobe Analytics: オンライン小売業トップ100社のうち80社の販売動向を記録している)によると、今週金曜日のオンライン売上高は昨年度より23.6%増の62.2億ドルを記録した。マスターカード(Mastercard) (NYSE:MA)の全体の売上高は業界トップの230億ドルとなる見込みだ。

月曜日のサイバーマンデーに、消費者は新たに78億ドルを消費するとアドビ社は予測している。これは昨年度の水準より18%の増加である。ブラックフライデーはたった1日のイベントであるが、一週間分の売上が促進されるため、小売業者は顧客の消費を促す施策を打ち出している。

小売業界が回復することは株式市場だけでなく、為替市場にも良い影響をもたらす。米国債利回りの上昇とS&P500指数の反発によって、USD/JPYはドル高へと押し上げた。20日移動平均線を上回って推移しており、114円への上昇が見込まれる。本日発表の経済指標はないが、明日には住宅価格と消費者信頼感指数が発表される。だが、今月の株式市場が急落となったため、両指標がドル高要因になるとは考えにくい

また、トランプ米大統領はG20首脳会合に対して楽観的な捉え方をしていない。本日同氏はウォールストリートジャーナルにおいて、中国への追加関税を延期する可能性は極めて低いと述べている。中国製品2,000億ドルに対して25%の追加関税を課すだけでなく、中国から輸入したiPhoneやラップトップコンピューターに対しても10%の関税を課すことを提案している。トランプ大統領と習近平国家主席の会談に対する期待感は低い。直近のトランプ大統領からのコメントからすると、次回の会談において新たな進捗がみられるとは考えられない。もし我々の見方が正しければ、さらなる貿易戦争の緊張感の高まりによって、USD/JPYはドル高推移することは難しくなるだろう。

こういった内容を踏まえると、オーストラリアドルとニュージーランドドルが日中の悪パフォーマンス通貨であったことは当然のように思われる。ニュージーランド小売売上高はエコノミストが第3四半期1%増を見込んでいたところ、消費が伸び悩み、かなり残念な結果となったものの、豪 ドルNZ ドル以上の下落となった。カナダ ドルについては、米ドルの上昇によって、カナダ ドル原油価格回復の影響を受けることはなかった。

一方、ユーロ/米ドルは米ドル高や欧州中央銀行(ECB)の警戒感を背景に、6日間の最安値まで下落した。ドラギECB総裁によると、「直近の経済指標は予想を下回っている。景気減速の一部は一時的なものかもしれないが、一般的に不確実性は長期化する恐れがある」と述べている。

こういった懸念感は、ドイツ{{ecl-132||IFO景況感指数}}の低迷に起因していた。同氏は、世界経済の成長はかなり減速しており、インフレは続いているものの今後数ヶ月で下落へと転じるとの見方をしている。ECBは12月に国債の買い入れを終了すると予想されているが、彼らは国債買い入れの中止計画を「現時点では」という言い方をしている。そのため、世界経済が今後数ヶ月にわたって著しく減速した場合、ECBが計画を再検討する可能性がある、という懸念も浮上している。

12月13日の政策決定会合を前にした金融市場のショックは想定されておらず、ECBは計画を推し進めるとみられるが、直近の経済兆候がハト派政策や景気低迷を示唆している。ECBの懸念感によって、イタリアがEUの要求に沿った財政赤字目標へと変更する可能性があるという見方が曖昧になった。EUR/USDの終値が日中最安値となると、1.13ドルへと推移が想定される。

EU首脳陣はイギリスのEU離脱(ブレグジット)合意草案を承認したものの、投資家は英議会での承認に焦点を置いていたため、英ポンドに変動はなかった。メイ英首相はブレグジット草案の可決にあたって、650議席中320票を必要とする。同氏は少なくとも保守党から316票を獲得しているはずであるが、DUP(民主統一党)から新たに10票を獲得する可能性は極めて低い。そのため、今後同氏は労働党のブレグジット反対派メンバーに対して合意を支持するよう働きかけると考えられる。

労働党の大半のメンバーはブレグジット合意に対して反対すると考えられるため、激しい戦いとなることが想定される。しかし、労働党の中には離党する者や、合意案賛成に転換する可能性がある議員もいる。英議会では12月11日に投票を行われるため、英 ポンド相場は、ブレグジットの最終的な結果が出るまで大きく変化する可能性は極めて低いと考えられる。

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