現在の株式市場の調整局面によって、投資家は、金利政策、貿易戦争、景気後退の影響を受けないような避難先を求めている。
経済的不確実性が高い時には、健康保険会社、製薬会社、および医療機器メーカーは、一般的に他のセクターに比べパフォーマンスが優れているため、ヘルスケア株は防衛株とされている。
医療産業は、小売業者、公益事業者、ごみ収集業者のように、景気後退の中でも需要が減らない業界である。また、景気によって新薬や医療機器の普及が抑制されるものでもない。
S&P 500が2%下落している中、このような特徴によってS&P Health Care インデックスは今年9.38%上昇している。
ウォールストリートが9月に報じたゴールドマン・サックスの調査によると、ヘッジファンドのヘルスケア株のポジションは過去5年間で最高の水準であるという。ヘッジファンドのポジションのうち、テクノロジーセクターに続いて、ヘルスケアセクターが2番目(17%)に多いという。
安定したリターン
メルク・アンド・カンパニー(Merck & Company Inc)(NYSE:MRK)とメドトロニック・ピーエルシー(Medtronic Plc)(NYSE:MDT)は、この調整局面で安定したリターンを望める株であり、優位に立っているといえるだろう。
世界的な化学品・医薬品メーカーであるメルクは、通年を通して36%成長している。一方で、テクノロジー企業のフェイスブック(Facebook) は24%も下落している。
10月には、2022年に渡って1600億ドルの新規資本プロジェクトを計画していると述べた。また、配当を15%上げ、一株あたり配当金を2.2ドルとすると発表している。
メルクは、がん治療薬「キイトルーダ (Keytruda)」の売上により恩恵を受けている。第3四半期では、18.9億ドルの売上であり、前年同期比80%の増加である。堅調な売上高、配当成長、株の買い戻しをもって、私たちはメルクがたとえ52週間の最高値水準であろうが長期投資に最適だと考えている。
また、メドトロニックはあまり知られていないヘルスケア株ではあるが、同社の優位性と、リターンを考えるとおすすめできる銘柄である。メドトロニックは、心臓ペースメーカーを中心とした医療機器の開発・製造・販売を行っており、ペースメーカーでは世界で50%のシェアを誇っている。また、脊髄刺激療法や糖尿病のための製品でも一流企業である。
メドトロニック社は、脊髄刺激療法のマーケットを拡大するために、16億ドルでMazor Roboticsを買収した。
景気に関係なく、メドトロニックのような株は利益を生み出し続けることが可能である。メドトロニックはフリーキャッシュフローのうち50%を株主に配当として還元するという、長期的な見通しをもっている。今年は約15%株価が上昇し、一株あたり約2ドルの配当である。メディトロニックは、長期のポートフォリオとしておすすめできるもう一つのヘルスケア株である。
要点
現在の深い調整や2019年に考えられる景気後退の中で、メルクやメドトロニックのようなヘルスケア株は堅調に成長できると考えられる。ポートフォリオに多様性をもたせ、安定した配当成長の防衛株を加えることは良い戦略であり、その中でもヘルスケア株は一番に考慮すべき銘柄だろう。