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原油市場の危機:中国が原因なのか

発行済 2019-01-09 20:02
更新済 2020-09-02 15:05
CL
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昨年の原油についての話題は専ら供給過剰についてであった。今年は、中国による需要減退が焦点となるかもしれない。

原油価格が強気相場の時、サウジアラビアの原油減産やFRBの利上げ停止などの好材料はあるものの、特に中国をはじめとする世界的な経済成長の不透明性が原油高を抑制するだろう。

原油市場は持ち直せないでいる

WTI原油先物価格は、クリスマスイブに記録した18か月ぶりの安値から14%高の1バレルあたり約6ドル上昇している。

WTI 60-Min Chart

しかし、1月2日以降ほぼ全ての取引における原油価格には高いボラティリティが伴っており、終値の前になかなか上昇しなかった。月曜日のWTI原油の取引では、2日連続でレジスタンスラインの50ドルに近づくも、50ドルを超えることができなかった。

原油調査会社であるエナジーアスペクトとゴールドマンサックスは、中国による需要減退を確信している。

ロンドンのエナジーアスペクトのアナリストは、月曜日のアナリストレポートで次のように述べた。

「最近の弱い経済指標を考慮すると、中国は間違いなく最大の懸念である。中国の11月の原油輸入量は過去最大を記録し、12月は前月を超える水準ではあるが、もう間もなく原油需要は軟化するはずである」

中国の原油輸入は26%減少する見通し

ゴールドマンサックスのコモディティチームのアナリストは、2019年の中国の原油需要は2018年の日量47万5000バレルから日量35万バレル(26%)減少する見込みであると月曜日に述べた。他方、ブラジルやトルコ、南アフリカ、ロシアが不況から回復に向かいつつあり、新興市場からの需要は拡大する見込みであるとのこと。

それにしても、今週の米中通商協議で合意に達することができるだろうか。

米通商代表部(USTR)のジェフリー・ゲリッシュ次席代表やデイビット・マルパス財務長官率いる米通商団は通商協議のために北京へ滞在している。劉鶴副総理も通商協議へ出席し、順調のように思われる。

米中通商協議では、未だ合意に達していない

90日間の休戦が合意された12月1日以前の激化していた貿易戦争や、山積する貿易問題を考慮すると、休戦期間中に合意が締結されるとは確信できない。

エナジーアスペクトは北京での通商協議の重要性を強調し、米中貿易戦争による相当な下振れリスクが中国企業の業績に顕在化しつつあることを述べた。

「中国政府は経済成長の鈍化への対抗策を講じているが、時間がかかるだろう」

一方で、中国経済の後退はアジア諸国へ波及していくとも述べた。「ティーポット」と称される独立系の地方製油業者が輸入ではなく、自身で調達した原油の使用を決定したことを受けて、中国のエスポ原油やブラジル、コンゴの原油にまで弊害が波及していくだろう。

原油精製業者の不振は中国の市場心理を悪化させる

中国の大手石油企業は、2019年第1四半期の原油需要の鈍化予想を考慮すると、大幅な原油の貯蔵は必要なかった。同期には2月の1週間にも及ぶ休日である旧正月や4月の大がかりなメンテナンスがある。

ユニペックのトレーディングヘッドが解雇された12月末以来、不安定な市場心理が続いている。

これらを要約して、エナジーアスペクトは以下のように述べた。

「原油市場にとって本当に重要な指標は2つの価格である。供給が絞られた時のブレント原油が1バレルあたり50ドルを下回る価格と、需要が激減した時のブレント原油が1バレルあたり90から100ドルの価格である。この2つの価格レンジの中では、原油価格に異常はないのだ」

不景気に連動した現在の需要増加

エナジーアスペクトは次のように述べた。

「供給サイドにはそれほど問題がないように思える。OPECは減産しており、原油安は米国の供給過剰を理屈付けるだろう。原油市場は敬遠されており、問題点がたくさんある。つまり、供給サイドによる供給過剰はないと言える。

しかし、より懸念されているのは需要サイドである。2019年には需要の上昇、下落要因がともに存在するだろう。」

EUは日量約140万バレルを輸入しているが、最大の石油消費国である中国は日量約840万バレル輸入しており、世界の原油需要へ最大の影響力を持っている。

ゴールドマンサックスは2019年のブレント原油の目標価格を70から67.50ドルへ、WTI原油を64.50から55.50ドルへ切り下げた。同社は2019年の原油需要の伸びによる対前年比日量90万バレル増を原油市場が織り込むことを予想していると述べた。これは「歴史的にみて、局地的な不況と関連した水準である」とのこと。

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