2019年2月7日の為替相場
本日公開の米経済統計はないが、米ドルは上昇した。他国と対照的な結果であった先週公開の米非農業部門雇用者数が、未だ影響していると考えられる。
豪ドルは1.6%以上下落した。これは過去約1年間で最大の下落で、今後さらに下落すると考えられる。オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁は利下げの可能性を示唆し、投資家を驚かせた。また、RBAは世界経済低迷のリスクや国内住宅市場の減退に対処しなくてはならないと同氏は述べた。つまり、同氏は2019年における利上げの可能性を否定しただけではなく、緩和的な姿勢を示したのだ。小売売上高が減少、サービス、住宅市場が縮小している中で、RBAが慎重になっていることによって豪ドルの上値は重くなっている。テクニカル的には豪ドル/米ドルは20、50、100日移動平均線を下回っており、終値が最低値になることで70セントまで下落するはずである。
ニュージーランドドルにとっても本日は過去約1年間で最悪の日であっただろう。NZドルは豪ドルと同様の値動きをしていたが、予想を下回るニュージーランド雇用者数が発表され、NZドルは60ピプス下落した。エコノミストはニュージーランド失業率が3.9%から4.1%へ増加することを見込んでいたが、実際には4.3%となった。第4四半期において、雇用者数は予想ほど上昇せず、労働参加率も減少した。また、平均時給成長率は1.4%から1%へ減少した。乳製品価格は上昇しているが、この結果は中央銀行の金利据え置きを後押しするであろう。
本日はイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、四半期のインフレ報告書が発表される予定であるため、ポンドの動きに注目が集まるだろう。
英国EU離脱を巡る不透明感はBOEにとって重要な問題である。離脱まで60日を切っているが、1年前からほとんど進展が見られない。ポンド、経済、ユーロ圏と英国の市民の運命はEUがブレグジットの再交渉を認めるか否かにかかっているが、いまのところ認めていない。本日、テリーザ・メイ英首相はブリュッセルへ向かい、EUに条件の変更を求める予定であるが、拒絶された場合は合意なき離脱の可能性が高まるだろう。
8日、BOEのマーク・カーニー総裁は合意なき離脱のリスクを引き続き警告し、市場が混乱に陥った場合に景気刺激策の準備があることを述べるだろう。12月の金融政策委員会では、ブレグジットのリスクが大幅に高まっていることが言及された。今月初頭、カーニー氏は今後の利上げは段階的で限定的なものになることを述べた。
BOEはブレグジットの条件が明らかになるまでは、利上げを検討することはないだろう。EU離脱日が数か月、または今年度末まで延長されたとしても、ブレグジットが解決するまでは利上げが検討されることはなく、金融政策委員会での結果はポンドにとってネガティブなものになるだろう。低迷しているサービス業、製造業PMIは好調な労働市場や賃金の伸びによって打ち消されているので、忍耐強く判断できるのだ。カーニー総裁がハト派的なコメントをすれば、ポンド/米ドルは1.28を下回る可能性がある。