動画配信大手のネットフリックス(NASDAQ:NFLX)が下落する可能性はあるのだろうか。テクノロジー企業が市場予想を下回る成長を示し、株価が下落することは珍しいことではない。
上図はフェイスブック(NASDAQ:FB)とアップル(NASDAQ:AAPL)の2018年のチャートである。両者は過去12ヶ月で記録的な高値を記録して以降、30%から50%下落している。要因は各々異なるものの、これらの下落は急速に起こり、大幅な下げ幅であった。
1月中旬に公開されたネットフリックスの2018年第4四半期決算は、今後期待を下回る可能性を示唆している。
同社は好調な加入者増加数と純利益を示し続けており、投資家からの支持を得てきた。ネットフリックスは安価で利用しやすいサービスであるため、1億3900万人の加入者を抱えている。このことを反映して、過去5年間で同株は477%高となっている。
米国内の成長減速、キャッシュバーン
2018年の第4四半期において、ネットフリックスは新規有料加入者数が約900万人だったことを発表し、2019年第1四半期では新規有料加入者数が890万人となることを予想している。しかし、これらの発表の裏には危険が潜んでいる。主な収益源となっている国内市場が停滞しているのだ。
2019年の第1四半期において同社は米国内で160万人の新規有料加入者を見込んでいるが、前年同期は230万人であった。ネットフリックスが世界的に強いブランド力を維持し、全体での成長を維持し続ける限り、投資家は米国内での成長の鈍化を気にしないだろう。
しかし、同社は米国の6000万の顧客に対して1ヶ月の利用料金を1ドルから2ドルへと引き上げた。これは、同社が米国市場に対して保守的になっており、既存の顧客からさらに利益を得ようとしていることを示している。
その他のリスクとしては、新しい映像コンテンツの作成やマーケティング費用のために多額の借り入れを行う経営戦略が挙げられる。第4四半期決算では、フリーキャッシュフローが2019年にマイナス30億ドルになる見込みであると発表した。これが正しければ、同社は6年連続でフリーキャッシュフローがマイナスになることになる。
これまでは、同社のこの戦略は成功してきた。同社は高い評価を得ているオリジナルコンテンツの制作に注力しており、CNNによると同社の「ローマ」はアカデミー賞の10部門にノミネートされ、アカデミー作品賞の受賞が期待されている。
同株の昨日の終値は356.87ドルとなっており、クリスマスイブの下落から約54%上昇している。
しかし、もし仮に米国市場での成長が鈍化し続け、キャッシュを使い続けたらどうなるだろうか。投資家はにとってこれらの問題は無視できないものとなり、同社株は遅かれ早かれ下落するだろう。
要点
我々はネットフリックスを嫌っているのではない。むしろ、同社は素晴らしい企業であると考えている。
コンテンツ力の高さ、世界的なブランド力、優れたテクノロジーにより、同社の今後の四半期決算はさらに伸びていくだろう。しかし、長期投資家は同株の短期的な調整局面に備えるべきである。ネットフリックスもフェイスブックやアップルのように下落するかもしれない。