11日の米10年債利回りは25ポイント高で2.65となり、数週間ぶりに上昇した。
これはCBSのインタビューにて、パウエルFRB議長がFRBは金利は「適切な」水準にあり、「中立に近い」と述べた後に利回りの上昇は加速した。同氏は、現在においては政策金利の変更を急ぐ必要はないと考えているのだろう。
1月の「忍耐強く」対応するという声明以来、ハト派な姿勢を強めている。昨年の市場での解釈では、FRBは政策金利を変えず4度目の利上げを行うことを見込んでいた。
政府機関の一部閉鎖や、経済指標発表の延期などの後で、事態の収拾のためにも利上げを急ぐ必要はないのだろう。
そんな中でトレーダーは米国債を売却し、利回りが上昇している。しかし、長期で見ると米国債利回りのチャートは下降トレンドの中でまだレンジの中に収まっている。レンジ上限を僅かに上抜けした後で、今度はレンジ下限を下回っている。
利回りが再びレンジに戻るには、2月の最低値(上図:ドットライン)を上抜けする必要があるだろう。
米国債利回りのこのレンジは、利回りが100日移動平均線と200日移動平均線を下抜けした後に形成されている。また50日移動平均線は200日移動平均線をを下抜けし、デットクロスを形成した。同様にその後、100日移動平均線は200日移動平均線を下抜けした。そしてレンジ上限を試したが、現在では利回りは50日移動平均線を下回って推移している。
またRSIとMACDをみても売りシグナルが窺える。今日の反発にもかかわらず、これらのインジケーターでは弱気と見て取れる。RSIは、年初来依然として上昇トレンドラインを下回っている。 またMACDの短期MAは、長期MAを上抜けできずにおり、まだ下落する余地を指し示している。
米国債利回りが下降トレンドを表しているときは、投資家は株安から守るために株を売却し、国債を買っていることをを指し示している。