- 2019年の第1四半期決算:3月14日 市場終了後
- 予想売上高:58.3億
- 予想EPS: 5.23ドル
現在は、半導体企業にとってはつらい時期であろう。スマートフォン、ゲーミングPC、仮想通貨のマイニングに使用される半導体の需要は低迷し、投資家はエヌビディア(Nvidia) (NASDAQ:NVDA)や、AMD(Advanced Micro Devices) (NASDAQ:AMD)など、半導体企業の株を投げ売りしている。
カリフォルニア週サンノゼに拠点を置くブロードコム(Broadcom)(NASDAQ:AVGOは半導体メーカーの中では最も遅くに決算報告が予定されている。しかし、ブロードコムは低迷する半導体メーカー業界に、新しい風を送り込む可能性がある。ブロードコムは、良いプロダクトミックス(利益最大化のための商品のラインナップ)や低い営業費用という優位性がある。
半導体企業は今年1月、アップル(Apple) (NASDAQ:AAPL)がiPhoneの売上の見通しを下方修正したことによって、大きく打撃を受けることとなった。この背景には、中国経済の低迷などがあげられていた。この最大のスマートフォンメーカーであるアップルの下方修正は、アップル製品に半導体を提供する半導体企業への見通しも同様に悪化させることとなった。
しかし、ブロードコムは昨年CAテクノロジーズを190億ドルで買収した後で、業界内でも良いポジショニングにいると考えられる。このCAテクノロジーズの買収は当初、市場は受け入れ難いようだったが、この買収によってブロードコムは競合他社から差別化ができ、事業多角化による収益の安定も促した。
ブロードコム株の12日の終値は269.63ドルであり、過去6ヶ月で約16%の上昇である。半導体業界としては、同時期に9%の上昇だけであり、ブロードコムはアウトパフォームしている。ブロードコムのホック・タンCEOは、CAテクノロジーズの買収したことによって業界で優位に立ち、現在の半導体需要低迷に太刀打ちできるという。
タンCEOは、CAの顧客層は「事実上、全ての世界の大手企業である」と語る。同社はITインフラに数十億ドル投資し、半導体の売上を加速する土台を作ってきた。
ブルームバーグが1月伝えたバンク・オブ・アメリカ メリルリンチの調査によると、ブロードコムのアップルへの依存は以前の25%の水準から、約15-20%に縮小しているという。Vivek Arya氏率いるアナリストチームは、ブロードコムの売上の約8割は安定した企業や、クラウド、ネットワーク、ソフトウェア、ストレージ部門から計上できるという。
投資家は、ブロードコムの第1四半期決算で実際の業績はどうなっているかを知ることになるだろう。前年のEPSが5.12ドルに対し、市場予想では5.23ドルになると見込んでいる。また、売上高は9%増で58億3000万ドルと予想されている。
通期では、前年10月のブロードコムの調整後EPSは約21.50ドル、希釈化EPSは20.82ドルであったが、23.04ドルに上昇すると同社は予想している。
2018年で半導体大手企業が軒並み下落した後で、ブロードコムの新たなビジネスモデルの優位性は強く、同社は半導体企業低迷のなかで良いポジションにある。
要点
フォワードPERは10倍を僅かに上回る水準であり、年間配当利回りは約4%である。我々はブロードコムは、半導体株を保有したい長期投資家におすすめできると考えている。競合他社が底を打ち上昇する中で、ブロードコム株はアンダーパフォームする可能性はある。しかし、長期保有の投資家にとっては、CAテクノロジーズの買収の後で、良いリスクリワードである銘柄と言えるだろう。