軟調な経済統計の影響はそれほど長く続かないと考えられる。
米住宅着工件数や米住宅建築許可件数、コンファレンスボード消費者信頼感指数が予想を下回ったのにも関わらず、米国株式市場は2日間の続落から反発している。住宅市場の減速は驚くことではないが、コンファレンスボード消費者信頼感指数が、2月上旬に公開されたミシガン大消費者信頼感指数の好調な結果に反して、軟調な結果を示したことは意外であった。
米ドル/日本円も反発しているが、米国経済の悪化が見られたあとで、今後下落に転じると我々は考えている。リスク選好の回復はさておき、米国債利回りの上昇によって米ドルは上昇している。今年の利上げ見通しが0回であることは株式市場にとってポジティブである。
しかし、利上げを行わないのは世界経済への不透明感が根強いからである。そして、利上げを行わないことはドルにとってネガティブとなる。ドルの上昇が続く場合、111の水準で売られる可能性が高いだろう。貿易赤字は先月にピークを迎え、本日発表の貿易収支は回復するだろう。したがって、貿易統計によってドルが下落に転じるとは考えにくい。
最もパフォーマンスの悪かった通貨はユーロであり、1.1300を下回り1.1250へ徐々に向かっている。
ユーロ以外の主要通貨は値を上げ、ユーロ/米ドルは下落している。興味深いことに、重要なユーロ圏の経済統計はなく、独国債利回りは米国債利回りの上昇に続いている点である。
欧州時間では「条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)3」についての発言があったが、ユーロ/米ドルは1.1325でありニューヨーク市場開場まで値を下げなかった。しかしその後、独10年国債利回りの低下と伴って、ユーロ/米ドルは米ドルの回復によって大打撃を受けた。
英議会がメイ首相のブレグジット協定案を検討し始めているとの報道を受け、ポンドは上昇を維持している。しかし、民主統一党(DUP)はメイ首相の案を懲役刑になぞらえ、1年間の延期を望んでいることを表明した。昨夜、議会は約100年ぶりに政府から主導権を奪う法案を可決した。27日に英議会は示唆的投票を行う予定である。そのため、ポンドは焦点となり続けるだろう。
投資家はNZドルにも注目しているだろう。黒字に転じて予想を上回わった貿易統計はほとんどNZドルに影響しなかった。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は会合を開き、トレーダーはRBNZが中立な姿勢を維持するのに十分な程、ニュージーランド経済が回復しているか否かを見極めようとしている。
先月の会合では、利上げは2021年上旬にまでずれ込むと表明した。しかし、RBNZのオア総裁は金融緩和の可能性は上昇しておらず、成長は続くはずであると述べ、NZドルは急騰した。その後、製造業、企業、消費者の信頼感指数は軟調な結果を示したが、クレジットカード支出、貿易統計、住宅売上高は好調な結果であった。株式市場も市場最高値を迎え、消費者心理や企業心理の改善に寄与した。