米国債利回りは3日ぶりに上昇し、米ドル/日本円為替価格は高値となっている。
米経済指標は予想を上回る結果となったが、生産者物価指数(PPI)と失業保険申請件数による為替相場への影響はほとんど長続きしなかった。
失業保険申請件数は40年ぶりの低水準を記録し、PPIは予想を0.3%上回り0.6%となった。消費者物価指数(CPI)と同様に、PPIの伸びは食糧・エネルギーコストに大きく影響を受けた形だ。失業保険申請件数は4週連続で下落しており、労働市場は求職者が優位になっている。
先月は19万人以上の雇用が創出された。4月には20万人まで伸びるとの期待から、ドル/円は上昇基調となっている。
回復する市場心理とは裏腹に、FRBは楽観視していないと11日の会見で述べた。
FRBのクラリダ副議長は、労働市場・経済はともに良好な状態にあるとの認識を示した。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も同様の見解である。
一方、セントルイス連銀のブラード総裁は、3月が堅調であったのは金融政策の正常化を打ち切った結果であるとした。また、金融引き締めを示唆しうるとして、FOMC声明から「忍耐強く」という文言を撤回したいと述べた。
本日発表のミシガン大学消費者信頼感指数によって、米ドル価格はさらに上昇するだろう。
テクニカル分析の観点では、200日移動平均は111.50で、米ドル/日本円にとって重要なレジスタンスレベルとなっている。もし上放れとなれば、今年最高値の112.13も見えてくるだろう。ただしブレイクが失敗に終われば、111を下回る水準まで後退する場合もありえる。
11日のFX市場で最も注目されたのは、英国のEU離脱期限を10月31日まで延期することでEUが合意したという報道である。
これはメイ英首相の要求より長い期間となったが、実際には1年間の延期を求めたEUメンバーもいた。
英国がより早い段階での離脱を希望する場合は、期限よりも前に離脱が可能である。6月のEU首脳会議で状況が検討される見通しだ。6月1日より前にEU離脱の合意がなされない限り、英国はEU加盟国で行われる欧州議会議員選挙に参加することになる。
この延期によって、金融市場を揺るがしかねない「合意無き離脱」を回避できたのは朗報と言えるだろう。ただ残念なことに、投資家にとってはあまり印象に残らなかったようだ。
EUは離脱協定の再交渉を却下した。また、メイ英首相が6か月以内に現行の離脱協定を締結させられる展望はほとんど見えない。
代わりにこの延期によって、反対派は総選挙や辞任、2度目の国民投票を要求するかもしれない。ポンドは米ドルに対し小動きの終値を迎えた。
10日、ECBは下振れリスクと不確実性に関し注意喚起した。ユーロはようやくファンダメンタルに沿って取引されるようになった。
最新の金融政策会合で、ECBのマリオ・ドラギ総裁は経済後退へ懸念を示し、さらなる景気刺激策を導入する可能性があるとして投資家の不安を煽った。
長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾は低成長に対する刺激策であり、景気後退が深刻化する場合にも「十分な手段がある」とドラギ氏は述べた。
ECBは6月、マイナス金利の影響を緩和する措置について決定を下す見通しだ。今のところ、ドラギ氏は新たな関税、英国のEU離脱、保護貿易主義、低インフレ、イタリアの不況などの問題への対処に追われており、マイナス金利について議論する余裕がないとした。
よって今年中の利上げは必要ないが、必要があれば来年以降実施する可能性があるとしている。また、景気後退が深刻化する場合、6月に詳細が発表されるTLTROはより大規模なものになるだろう。
11日に発表された米国の失業保険申請件数に対しECBが対照的な見方をしたことを受け、ユーロは1.10を下回る水準まで値下がりした。
11日、豪ドル、NZドル、カナダドルは米ドル上昇を受け下落。
原油価格の急落によりカナダドルは安値となった。消費者期待指数の下降と解散総選挙を受け、豪ドルは売り傾向となった。
モリソン豪首相は5月18日に総選挙を行うと述べた。党内部闘争により、早期選挙は避けられないものとなった。政局不安定はその国の通貨を下押しするが、豪ドルも例外ではない。
ニュージーランドの製造業購買担当者指数(PMI)は先月を下回った。