聖金曜日とイースターの前の週(聖週間)は、外国為替市場にとって常に難しい局面となる。祝日の前は通常利食いが出やすくなるが、イースターの場合は、これまで短期的な上下動の値動きを見せてきた。金曜日と月曜日に市場が閉場するイースターの週では、ブレイクは騙しとなることが多いのだ。外国為替市場は10の経済指標を前に持合い相場となっている。
今週注目の経済統計トップ10
1. 英雇用統計
2. 独ZEW景気期待指数
3. NZ消費者物価指数(CPI)
4. 中国GDP
5. 英消費者物価指数(CPI)
6. 豪雇用者数
7. ユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)
8. 英小売売上高
9.米 小売売上高
10. 加小売売上高
15日の最もパフォーマンスの良かった通貨は英ポンドである。リスボン条約50条の発動が6ヵ月延期されたことが、上昇に寄与している。住宅価格の上昇によってポンドは上昇基調となっているが、今後発表される雇用統計や小売売上高、消費者物価指数(CPI)によってさらに上昇するだろう。サービス業PMIや製造業PMI 、建設業PMIを見る限り、これらの分野における労働市場の状態は改善しているようだ。したがって、失業率の改善が予想されるが、重要なのは賃金の伸びである。企業はブレグジットの不透明感を前に、賃上げを敬遠していると考えられる。また、物価の上昇が見込まれている一方、小売売上高は軟調な結果になることが予想されている。今週発表の経済統計が好調であれば、ポンド/米ドルは1.32を上回るだろう。
15日の最もパフォーマンスの悪かった通貨はカナダドルである。カナダドルは原油価格の下落や、軟調な企業景況感調査を背景に急落している。この調査は外需・内需ともに絶好調であった前四半期を上回ることができず、ネガティブな結果となった。カナダにおける主な懸念点は米成長率の低下と貿易摩擦である。また、豪ドルは小幅高となっている一方で、軟調なサービス業PMIを受けてNZドルは下落となっている。製造業とサービス業の不調は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)がハト派的であることと一致している。しかしながら、17日に公表を控えるNZ消費者物価指数(CPI)は、原材料費の高騰を背景に上昇することが予想されている。スティーブン・ムニューシン米財務長官の米中貿易に対するポジティブな発言によって、豪ドルとNZドルは下支えされている。米中間での通商合意は、両通貨にとって好材料となるだろう。
本日発表の独ZEW景気期待指数を前に、ユーロは注目を集めている。景気後退への懸念が拭えない中で、ドイツ株価指数は上昇しており、配当利回りも低い水準にある。ユーロ/米ドルは1.13を上回って持合いとなっており、ZEW景気期待指数やPMIの発表によっていずれかの方向へブレイクする可能性がある。一方、米ドル/日本円は112を下回っている。NYエンパイアステート製造業指数は予想を上回ったが、低調な株価が下押しした形だ。18日まで主要な米経済統計の発表は予定されていないが、米ドルは綾戻しとなる可能性が高いだろう。