18日午前に発表された米経済統計は、楽観的なエコノミストの予想を上回った。3月の消費者支出は1.6%増と2017年9月以来の上がり幅となった。コンセンサスでは1%増、最大でも1.3%増の予想であった。ガス価格の高騰が大きな役割を果たしているが、需要が未だ堅調であることを示している。先月発表された経済統計も、米政府機関閉鎖の影響から回復し上方修正されていた。また、堅調な需要は、労働市場の改善や賃金の増加、株式市場の上昇などに裏打ちされており、失業保険申請件数も50年ぶりの低水準を記録している。これらの結果は年初の減速が一時的であったことを示している。好調な結果が今後も続くのであれば、年末の利上げもありえるだろう。
残念ながら、これらの経済統計は米ドル/日本円にとっては十分ではなかった。同通貨ペアは上昇ではなく下落となったのだ。要因の一部として、強力な112でのレジスタンスとイースター前の利食いが考えられる。しかし、18日の米国債利回りは下落に転じており、債券トレーダーにとって小売売上高が好感されなかったことが窺える。今月の経済指標が良かったとしても、中央銀行の見通しを左右するほどではないと考えているのであろう。FOMCメンバーの大半は、堅調な労働市場や支出の回復を認識しているだろう。彼らが主に懸念していることは、国外の景気や貿易問題である。19日公開の住宅着工件数や建築許可件数が米ドルへ大きな影響を及ぼすと我々は考えていない。しかし、これらの経済指標を受けて米ドル/日本円が112を上放れできなければ、19日と22日に上放れとなる可能性はかなり低いだろう。
日本円に対してドルは下落する一方、その他主要通貨に対してはすべて値を上げて取引されていた。ダウが上昇、S&P 500は下落するなど米国株式市場がまちまちであることを考えると、今回のドル高はリスク回避が原因ではないだろう。一方、軟調なPMIを受けてユーロは下落している。ボリス・シュロスバーグ氏によると、景気の絶対的な尺度であるユーロ圏の製造業PMIは予想の48.1に対して47.8となっており、景気悪化を示していた。「受注数が過去5ヵ月間で4度目の下落となっており、昨年11月以来特に増加はしていなかった。受注数の減少幅は2014年12月以降で最も急激な減少を見せていた3月をわずかに下回った。このような状況下で、独サービス業PMIが改善していたことは唯一の救いである。欧州における製造業がすぐに回復するとは考えづらいが、最大の希望は需要が安定しつつあるサービス業である」とマークイットは述べた。
他方、カナダ、オーストラリア、英国における経済指標は予想を上回ったが、これらの国の通貨はそれほど上昇しなかった。カナダ小売売上高や消費者物価指数、貿易収支は好調な結果となったが、カナダドルは小幅な値動きであった。今月のカナダドルは1.3280から1.34のレンジで取引されている。唯一ブレイクする可能性があるとすれば、来週のカナダ銀行による政策金利発表である。好調な経済指標にカナダドルが反応を示さない理由の一部としては、カナダ銀行の懸念を払拭するには不十分であると投資家が考えているからであろう。
好調な英小売売上高にも関わらず、ポンド/米ドルは1.3を下回った。エコノミストは同指数が縮小することを予想していたが、1.1%増となった。オンライン販売が今回の上昇に寄与しており、ブレグジットの不透明感は消費者需要へほとんど影響を及ぼさなかった。小売売上高は3か月連続で上昇しているが、ポンドのトレーダーは小売売上高をほとんど考慮していないようだ。一方、3月のオーストラリア雇用者数増減は2万5000人増となり堅調な労働市場を示した。また、2月の雇用者数増減も上方修正された。しかし、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは200日移動単純平均線を割り込み、ニューヨークの取引時間でさらに下落した。