グーグルの親会社であるアルファベット(NASDAQ:GOOGL)は、予想を下回る第1四半期決算(1‐3月)を発表し、他の大型テック銘柄と比べアンダーパフォームしている。決算が発表された4月29日以来、その差は開き続けている。
同株は今年に入って24%上昇した後、4月29日発表の予想を下回る決算を受けて、約8%安となっている。3日の終値は1189.55ドルとなっており、最高値である1300ドルから下落している。
一方、他のFAANG銘柄であるフェイスブック(NASDAQ:FB)やアマゾン(NASDAQ:AMZN)、ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)は上昇基調が続いている。
アルファベットの第1四半期決算を読み解くことで、なぜ投資家がこれほどまでに同社の将来について悲観的になっているのかが分かるかもしれない。
決算で隠された数値
アルファベットの第1四半期決算は、明らかに投資家を失望させる結果であった。2015年以降で最も弱い収益成長率を発表しただけでなく、最も収益性の高いビジネスであるユーチューブが不調であることを示した。
第1四半期売上高は363億ドルであり、アナリスト予想を10億ドル下回った。また、EPSは9.5ドルと前年同期を遥かに下回った。
しかし、最大のネガティブサプライズは、重要な指標全てが不調であった点であろう。売上高は前年比17%増となっているが、前年同期は26%増であった。また利益率は18%となっているが、前年同期は25%であった。
同社の幹部が今回の決算の一部を覆い隠すことで、投資家の不信感はさらに増すこととなった。ルース・ポラットCFOはユーチューブに関するアナリストの懸念を逸らすために、詳細に言及せずに為替変動や製品変化が成長鈍化の原因である述べた。
野村インスティネットのアナリストであるMark Kelley氏は「今期の決算によって特に広告事業などの将来見通しは変更せざるを得ないだろう」と述べているものの、同株を買い推奨で据え置いている。
利益率が悪化し続け、幹部達が将来の成長エンジンについて一切言及しない場合、グーグルは投資家を惹きつけることができないだろう。
同社は投資を集中させているユーチューブ事業やクラウド事業の売上高を明らかにしていない。デスクトップ広告事業が減退する中で、これらの事業は将来の成長エンジンであると考えられる。
アマゾンはグーグルの事業領域へ進出しつつある
グーグルにとっての脅威は、Eコマース大手のアマゾンが検索分野の最大の競合となっている点である。これまで、消費者は商品やサービスを探す際にグーグルの検索エンジンをまず使用していたが、それが変わりつつある。
検索エンジンを独占していたグーグルは、広告主に対して割高な価格を請求してきた。しかし、商品検索においてアマゾンが代替の検索エンジンとなっている。
EMarketer社の推測によると、アマゾンは米国において第3位のデジタル広告プラットフォームとなっており、グーグルとフェイスブックを追従している。
アマゾンの第1四半期決算(1‐3月期)において、「その他」セグメントでは広告事業が牽引して34%増の27.2億ドルとなった。一方、グーグルのクリック報酬型広告の成長率は前2四半期が66%、62%増であったのに対し、39%増であった。アマゾンの広告事業はグーグルと比べると僅かではあるが、将来の成長を牽引するのに十分な規模であり、株価も上昇している。
ブルームバーグのインタビューにおいて、ポラット氏はアマゾンの広告事業を重要視していない様子であった。
「米国における広告予算の半分は依然としてオフラインで使われている。米国における商取引の90パーセントはオフラインであり、その中で我々はデジタル面で大きな役割を果たすことに注力している」
総括
弱い第1四半期決算と2019年度の不透明感を考慮すると、少なくとも2019年度の上半期は同株は下押し圧力を受け続けるだろう。マクロ環境が悪化すれば同株がさらに下落し、テクノロジーセクターは修正局面に入ると考えられるので、現時点で同株を購入すべきでないだろう。
しかし、同社が長期に渡って低迷することは考えにくい。検索エンジンや広告事業における圧倒的な優位性は簡単には崩れないだろう。同株がさらに15%から20%の範囲で下落する場合、購入するには良い機会と言えるだろう。