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ペイパル Vs. スクエア:決済事業戦国時代、勝者総取りの決戦

発行済 2019-05-09 18:59
更新済 2020-09-02 15:05
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キャッシュレス決済の台頭により、決済サービス業界は激動の時代を迎えている。既存企業と新規参入企業とが、ともに未来のキャッシュレス決済界のリーダーを目指してしのぎを削っている。

二大巨頭であるペイパル(NASDAQ:PYPL)とスクエア(NYSE:SQ)は、先日それぞれ第1四半期の決算を報告した。

これに対し、市場の反応はまちまちであった。再度値下がりしたスクエアを尻目に、ペイパルは株価を伸ばした。

それでは、2社の決算報告のポイントを見てみよう。

ペイパル: 波に乗るVenmo事業

ペイパルは驚くべきスピードで成長し続けている。特に好調なのはP2P決済、すなわち個人間決済アプリのVenmoだ。

PYPL Chart

同社が4月24日に発表した決算報告によると、過去12か月のうち少なくとも1回はVenmoを利用したことがあるというユーザーはのべ4千万人にのぼる。

なお、ペイパルがVenmoのユーザー数を公表したのはこれが初めてだった。

Venmoの主要指標である総取引額(TPV)は第1四半期において年初来73%成長し、210億ドルを計上した。

同社によると、Venmoの総取引額は今年にも1000億ドルを突破する見込みであるという。

ペイパルのダニエル・シュルマンCEOは「Venmoの勢いは止まらない」と語る。

「ユーザー数の増加に伴って、Venmoを導入する企業も増えている。Venmoは良質で長期的な消費者基盤を約束する」

VenmoはUber(NYSE:UBER)、グラブハブ(NYSE:GRUB)、そしてチポトレ(NYSE:CMG)との提携を発表した。

このような提携がVenmoの主な収益源だ。シュルマン氏によると、Venmoの売上高は今年3億ドルに到達する見込みだ。

BTIGアナリストのマーク・パーマー氏は第1四半期決算報告を受け、ペイパルの目標株価を114ドルから130ドルに引き上げた。同氏はVenmoの継続的な収益性と急速なユーザー基盤成長性に期待を寄せている。

同氏は高いユーザーエンゲージメントを維持する力にも注目している。また、取引数やユーザー数は毎年目標を達成しており、新規顧客を引き付けている。

7日に108.95ドルで終値を迎え、同株は今年およそ30%値上がりしている。時価総額は1280億ドルに達している。

テクニカルの観点では、同株は50日移動平均線を大きく上回って取引され、現時点では5月1日に付けた最高値の113.69ドルまで4%と肉薄している。

スクエア: 続く低迷

スクエアの決算報告では、総取引額と第2四半期業績予想はともに予想値を下回っていた。総取引額は予想の228億ドルを下回る226億ドルとなった。

SQ Chart

前年同時期比26.7%の成長率にも関わらず、総取引額成長率は前年の29.6%から28.3%へと後退した。

この低迷について、バーンスタインアナリストのHarshita Rawat氏は以下のように綴っている。「熾烈な提携先獲得争いに勝ち続ける力を有しているのか、ここにきて疑問が浮上してきた」

総売上高成長率における停滞の兆候が続いているのも懸念材料だ。同社の調整後総売上高は4億8900万ドルで、対前年比59%上昇している。前年同時期では64%だったことを考慮すると確実に成長スピードは落ちてきている。

さらに悪いことに、第2四半期の業績予想も悪化している。

同社は第2四半期の予想EPSを14~16セント、売上高を5億4500万ドルから5億5500万ドルと予想したが、ともに予想を下回る数値となった。

BTIGのパルマー氏は、スクエアのくすぶる決算と業績予想を受け、売りを強調した。同氏は競争の激しい決済市場において、スクエアに対するハードルが上がっていると指摘した。

「スクエアの総取引額や業績予想の落ち込みから、加熱する競争が同社を苦境に立たせていることが見て取れる」

ツイッターのジャック・ドーシーCEOが運営しているスクエアだが、下げ相場が続き、さらなる損失が計上される可能性がある。

7日の終値は68.42ドルで、10月1日の記録的な高値から約33%の下落となっている。

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