ダウ・デュポンから最近スピンオフした新生ダウは、インカムゲインを狙うに良い銘柄となっている。
2017年にザ・ダウ・ケミカル・カンパニー (NYSE:DOW) とデュポン(NYSE:DWDP)は合併し、ダウ・デュポンは3事業を有するホールディングカンパニーとなった。
しかし、ダウ・デュポンは3部門をそれぞれ独立し上場企業3社とすることを目的に、2019年4月1日にダウの分割を完了させ、同株の取引が始まっている。
3部門の一つである「アグリカルチャー事業部門」のダウ・アングロサイエンスの独立は6月に予定されており、同社の農薬や他の農業製品に注目が集まっている。また、デュポンも6月に「特殊化学品事業部門」として独立する予定であり、いわゆる新生デュポンとなる。
そして今回分割された「素材科学事業部門」、これがいわゆる新生ダウである。同社はプラスチックやシリコンなどの開発をしており、今年ではEBITDAで90億ドル以上の売上が見込まれている。
ダウは投資家への利益還元に焦点を当てており、ダウは自社株買いや配当を通して毎年純利益の65%を株主に還元することを発表している。
ダウは事業拠点数を15から6に減らした後、ターゲット市場への集中的なアプローチを取る戦略をとっている。プラスチック製品やパッケージングは同社のメイン事業であり、31カ国で展開し売上高の約半分を占めている。
循環株であるが、高配当株
ダウの配当は一株あたり0.7ドルであり、配当利回りは年率約5%である。目標配当性向は純営業利益の45%であり、プラスチック事業での優位性を持つ同社はコストカットなどを通して増配の余地を残している。
原油からつくられるプラスチックは、世界経済の動向に大きく左右される市況産業である。
5月2日に行われたダウのスピンオフ後はじめての決算報告では、米中貿易戦争の中でエネルギー業界向け産業材などの需要が停滞し、営業利益は24%減少した。この減少はアナリストの予想と一致した。しかし市場環境は改善し始めており、ダウは第2四半期で110億ドルから115億ドルの売上が見込まれることを予想している。
4月に60.52ドルまでまで上昇し上場以来26%上昇した後で、同社の決算が振るわなかったことにより株価は下落している。ダウは5月10日の時点で、53.07ドルまで下落している。
しかし、株価の下落は長期投資家にとっては良いエントリーポイントであると考えられる。
ゴールドマン・サックス・グループのアナリストのRobert Koort氏は4月のレポートで次のように述べている。
「有望な循環株ということに加えて、「旧ダウ」から「新ダウ」へのトランスフォーメーションは、より高い株主への利益還元や、より焦点を絞ったコスト構造を期待させる」
ゴールドマンはダウの株価目標を71ドルとしており、今後12ヶ月間のアナリスト予想平均値62.67ドルを上回っている。
総括
新生ダウは良い事業戦略や、増配に期待できる。年率5%の配当や、低い負債レベル、証券会社の投資判断などによってポートフォリオに組み込むべき良い候補になるだろう。最近の下落は、高配当を享受するための良いエントリーポイントと考えることができる。