29日にG20大阪サミットで行われた米中首脳会談は、市場の期待に沿う結果となった。両国間の貿易摩擦は世界経済に減速の不安を与えていたが、両首脳は再び通商合意に向けた交渉の席に着く事に合意した。
直近の株式市場が強気相場になっていた事からも分かるように、週末のG20サミット前から、市場はポジティブな結果を期待していた。米中間の関係性が好転し、米FRBによる利下げが行われるだろうとの期待から、6月のS&P 500は6.9%高となり1月以来最高の月次上昇率となった。
一方で、米中は最悪の結果の回避に力を注いでいるという期待が持てたものの、両国の貿易問題が早期に解決するかはまだ分からないというのが正直なところだ。このようなマクロ環境の中で、中国への依存度が高い銘柄の内以下の超大型株3社に注目したい。今週、3銘柄は上昇が期待できる。
1. エヌビディア
半導体メーカーのエヌビディア(NASDAQ:NVDA)は、楽観的な観測が広がる半導体セクターの急騰を牽引する銘柄となる可能性がある。同セクターは、需要と貿易問題の2つの観点ににおける不透明性により敬遠されていたため、ボラティリティが非常に高い状態が続いていた。
同社にとって、中国は主要な市場であると共にサプライチェーン上の中核でもある。同社売上高の50%以上は中国におけるものとなっている。ベンチマークである半導体インデックスは5月に17%安となり、2008年11月以来最大の月間下落率となったものの、6月には13%高となり、2011年10月以来最大の月間上昇率となっている。
ニーダム・アンド・カンパニーのシニア半導体アナリストであるクイン・ボルトン氏は、「半導体サプライヤーはその輸出先を中国に依存しており、他のテクノロジーセクターと比較しても、米中貿易戦争によるリスクが大きなものとなっている」と述べている。
10月に記録した292.76ドルの史上最高値以来、同社株は需要低下と過剰在庫により44%安となっていた。6月28日の終値は0.61%高の164.23ドルとなった。
2. アップル
米中貿易戦争の激化により下げ圧力が強まっていたテック銘柄として、アップル(NASDAQ:AAPL)も注目しておきたい。アップルは6月中旬にライトハイザー米通商代表部に宛てた書簡において、中国からの輸入物品に25%の追加関税を課された場合、同社の事業が非常に大きなリスクに曝されると訴えていた。
同社はサプライチェーン全体で200万人を抱えていると推計され、アプリの開発にも同程度の人数が携わっている。同社は設計と販売の多くを米国で行っているものの、組立は中国国内で行い完成品を輸入している。
米中首脳会談による一時停戦ムードにより、中国に依存する同社のサプライヤーネットワークを他国に移動する必要がなくなるだろうとの期待が高まった。
同社の6月28日の終値は1%安の197.92ドルとなり、過去1ヶ月で10%高以上となっている。
3. ナイキ
スポーツ関連商品大手のナイキ(NYSE:NKE)が米中貿易問題により被る影響は上述2社同様に大きい。同社にとって、中国は年々重要な市場となっているからだ。
6月28日に発表した3-5月期決算報告において、同社の中華圏売上高は22%増加し、20四半期連続で2桁成長となった。また昨年、同社靴製品及び衣料品の26%が中国内で製造されている。
これまで同社は貿易戦争の影響をさほど受けていない。同社役員はカンファレンスコールにおいて、同社は引き続き中国で製品を製造し、生産拡大を行う機会を見出していると述べた。
同社の四半期EPSは0.62ドルとなり、諸経費や税金増加により予想EPSの0.66ドルを下回った。6月28日の終値は83.66ドルで、77ドルを付けていた5月31日から約9%高となっている。